米麹を自作する場合、米を研いで浸水させて水を切り、蒸す…という作業を行います。どうしても手順が多くなるため、自作米麹へのハードルが高くなり、なかなか手が出ないという方も少なくないと思います。そこで今回は「蒸す」作業を省き、鍋で米を「炊く」だけにします。しかも超早炊きのご飯を使った米麹作りです。自家製の甘酒や塩麴を作るなら、この米麹で市販品と変わらない、十分美味しいものが出来上がります。
外出自粛が続く中、ご自宅でじっくりと発酵に向き合ってみませんか。麹菌が発酵すると熱を発するようになり、麹菌が生きている実感が得られるので、ちょっとした実験のようにお子さんと一緒に作ってみるのも楽しいと思います。
「自家製炊き麹」の作り方
「炊き麹」で必要な道具は、種麹をのぞいて家にあるもので間に合います。種麹は通販などで数百円で簡単に購入でき、しかも1袋で10kg以上(15kg分と記載されているが、失敗しないよう多めに使うため、表示よりやや少なめになる)は作れるのでお得です。
今回は米麹作り入門編として作りやすい量、米3合にします。これで大体500g程度の米麹ができます。
米は炊くことで蒸すよりもご飯に水分は残りますが、米に浸水させずにすぐ炊くことで、なるべく米が水分を吸わないようにします。あっという間にご飯が炊けてしまうので、その分びっくりするほどスピーディに麹づくりに入れます。
※鍋でなく炊飯器を使う場合は、早炊きモードで炊いてください。
【材料】
・米:3合
・水:200ml
・種麹:1~3g(多めにすると失敗が少ない)
これが種麹
【作り方】
1./米を研いで鍋に米を入れ(あれば土鍋がベストだが、他の鍋でも可)、水を入れてすぐ中火で炊きはじめる。これで米が水を吸い過ぎるのを防ぐ。
水を入れてすぐ炊きはじめる
2./10~15分程度で炊き上がるので、炊き上がったら麹を作る容器(寿司桶などがベスト。なければ大きめの保存容器でも可)にご飯を入れ、ご飯をなるべくバラバラにして冷ます。
あっという間に炊き上がる
粗熱と水分を取るために広げる
3./ご飯が30℃ぐらいに冷えたら(手で触って少しだけ温かい感じ)麹菌を振りかける。袋を少しだけ切って少しずつパラパラと振るか、茶こしなどで振りかけると良い。少し振りかけては混ぜ、また振りかけて、を繰り返す。なるべくご飯がバラバラになるように混ぜるのがコツ。麹菌は多めに振りかけると失敗が少ない。
種麹を振って混ぜ、バラバラに
4./まんべんなく麹菌を振ったらバラバラにしたご飯をまとめる。このときふわっとまとめるのがコツ。まとめたらタオルをかけて、密閉しないようにフタをする。
ふわっとまとめる
タオルをかける
5./あればタオルにくるんだ電気アンカを容器の下に置き、手で触って少し温かい程度(36℃前後)に保温する。保温は湯たんぽ、使い捨てカイロ、湯せんなどでもできる。
6./24時間程度経つと、麹が発酵してご飯が固まりになってくる。これをほぐしてバラバラになるようにし、再びまとめてタオルをかけて保温する。発酵によって水蒸気が出てくるので、ご飯に落ちないようにフタに布巾などをはさんでおくと良い。
水蒸気が出てくる
まだ麹菌が回りきっていない
7./30~36時間前後経って麹菌の発酵で発熱してきたら、温度が上昇するのを防ぐため、まとめていた状態からご飯をほぐして広げる。触ってみて手のひらの温度より熱いと感じるほど熱が上がっていたら、保温道具を取り去って麹菌の発熱に任せる。栗のような甘い香りがしてきたら麹菌が元気な証拠。
甘い香りが漂い始める
8./48時間程度経つと、全体が白く麹が回り、ふわっとする。ここまでできたら発酵終了。ザルなどに広げてある程度乾燥させる。すぐ使わなければチャック付きの保存用袋に入れ、冷蔵庫で保管する。
炊き麹の出来上がり
米を蒸して作る本格的米麹の作り方は
“My米麹”を作ろう! その1
“My米麹”を作ろう! その2
を参照してください。