“My米麹”を作ろう! その2

カテゴリー:発酵食品全般 投稿日:2016.04.20

 麹室ができたら(「“My米麹”を作ろう」/2016.04.19配信)、いよいよ米麹作りに入ります。米麹作りは麹菌を付けてから2日程度かかりますが、ここでは極力手間をかけない方法をご紹介します。また、今回はベースとなる米を「砕米」(さいまい・砕けている米、通販で購入可)にしています。砕米麹は、分解が早く、発酵から熟成がスムーズに行われるので味噌、醤油麹作りに絶好です。

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左が普通の米、右が砕米

 

【材料】作りやすい量

・うるち米:1kg

・種麹:2~10g(通販で購入可。初心者は多めにすると失敗が少ない)

・蒸し布(100円ショップで購入可)

・蒸し器

・茶こし

・霧吹き

 

【作り方】

いよいよ「麹って生き物なんだ!」と実感できる作業を始めましょう。

 

〜仕込み前日〜

分量の米を研いで水に浸けておく。

 

〜仕込み当日〜

1./水に浸けておいた米をザルにあげ、2~4時間しっかり水を切る。

2./1を蒸し布に包み、蒸し器で40~50分程度蒸す。蒸した米を食べてみて、芯が残っておらず、硬いご飯を食べている感じで、あるいは親指と人差し指で米2、3粒をひねって餅になるようであればOK。

3./蒸した米を蒸し布ごと持ち上げて新聞紙の上に広げ、しゃもじで水分を飛ばすように手早くかき混ぜる。冷めてきたら手で一粒ずつバラバラになるようにかき混ぜる。米を握って温かくも冷たくもない程度まで冷ます。米の水分が飛んでパラパラになる感じにすることが大事。水分が多すぎるとうまく発酵しない原因になる。

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蒸し上がった米

 

4./3の上に種麹菌を茶こしなどで少しずつまんべんなく振りかける。種麹は、米 1kgに対して0.2%(2g)が規定の量だが、最初は失敗しないように少し多めに使用した方が良い(多くても支障はない)。振りかけたら米をもむようによく混ぜて麹のムラがないようにする。米を冷まさないためにこの作業も手早く行う。

5./温度が下がらないように4を蒸し布で小さくまとめ、ダンボールで作った受け皿に載せる。発砲スチロール箱の底に(1)カイロ→(2)タオル→(3)カバーを置き、その上に米の入った受け皿を載せて、ふたは空気を抜くために少しずらして閉め、毛布で包んで保温する。これで大体36℃前後になる。40℃を超えると麹がダメになってしまうので、温度計を見ながら中の温度を調整する。

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蒸し布で小さくまとめる

 

〜約24時間後〜

6./ 種麹を付けてから約24時間経つと、麹の発酵で米がかたまりになってくる。これをほぐして、1粒ずつバラバラになるようにする。これを再度蒸し布でまとめて、元の状態に戻して保温する。この時、米を包んでいる蒸し布が乾いているようなら、霧吹きで吹くか、濡れタオルをかけるとよい。

写真は1日後の状態。まだ米が半透明のままで麹菌が繁殖していない部分が多い。

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〜約30時間後〜

7./このころになると米自体が発酵により発熱してくるので、温度が上昇するのを防ぐため、まとめていた状態から米同士をほぐしてやや広げて平たい状態にする。

〜約36時間後〜

8./このころになると、麹の白い菌糸が目につき、発泡スチロールの箱のふたが米から出た水蒸気でびっしょりぬれるほど元気に発酵するようになるので、温度を測り、米の温度が上がりすぎている場合は、保温をやめ、米をかき混ぜて温度を下げる。逆に低い場合は、保温を続け、乾いたタオルなどを米に被せる。

写真は米を広げて放熱させているところ。麹自身の発酵熱で、びっくりするほど温かい。

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〜約48時間後〜

9./種麹を付けてから2日、48時間程度経過したところで麹を手に取ってみて、ふわっとして、栗のような甘い香りがしたら発酵終了。まだのようなら、引き続き発酵させる。1kgの米が約1.2倍の重量になる。

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麹が回って全体が白っぽく変化

 

10./9を新聞紙などに広げて冷やし、1日程度乾燥させて出来上がり。ビニール袋に入れて冷蔵庫で保管すれば1ヵ月程度はOK。醤油麹や味噌などに活用しよう!

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ビニール袋に小分けして保存

 

文章で読むと難しく面倒くさそうに思えますが、いざ実際に発酵が始まると、面白くて何度も様子を見たり、触ったりしてしまいました。麹自身が出す熱の温かさを感じると、「麹って生き物なんだな」と実感でき、いとおしくなります!

 

 ※米麹作りで多い失敗例

 比較的多いのは、蒸し米の水分が多すぎて発酵の過程で米が糖化してしまうこと。糖化した米は半透明、ベタベタした感じで食べてみるととても甘い味がします。しかし、失敗だからと捨てるのはもったいない。これは西京風味噌(「2週間でできる!“西京風味噌”を作ろう!」/2016.03.19配信)にできますので、失敗を恐れることなく挑戦してみてください。

【“My米麹”を作ろう! その1】

 

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この記事を書いた人

編集部
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