西京味噌は、淡い黄色の甘口味噌のことです。米麹の割合が通常の味噌より多く、時には水飴が配合されることもあります。 また、塩分が5%前後と低く、熟成期間が短いのも特徴です。
2月13日の記事「“衣類圧縮袋”で味噌を作ろう!」は基本の赤味噌でしたので、今回はその応用編として、甘口白味噌の代表、西京風味噌を手作りしてみましょう。
“西京風”としたのは、西京味噌屋さんの作り方はとても丁寧で、こんなものではないのでおこがましいからです。怒られそうです。ただ、味は保証付き! 思ってもみなかったほどおいしい味噌ができました。
西京風味噌を作る、というとなんだか難しそうに思えますが、ちょっとした工夫とひと手間で、上品できめ細かい西京味噌のような味噌が、たった2週間で出来上がります。
赤味噌と西京味噌、何が違うのか
西京味噌がきめ細かくなめらかなのは、大豆の皮を剥(む)いて煮るからです。こう聞くと面倒くさい!と思えます。しかし編集部では、簡単に大豆の皮を剥く方法を考え、かつ麹にちょっと手を加えて、より西京味噌の風味に近づくように工夫しました。
塩分が少ないものの、熟成期間も短いので、カビの心配はあまりありませんが、安全のために少量作って短期間で食べきるようにしましょう。ビニール袋でできるので、時間差で何個も作れば、1年中楽しむことができます。
【材料】(出来上がりが約1kgの分量)
乾燥大豆:200g
米麹:500g
塩:35~40g
大豆の煮汁:100cc前後
【道具】
圧力鍋
大きめのボウル
フードプロセッサー(あれば)
厚手のビニール袋2枚(30cm×40cmぐらい)
【作り方】
1./米を研ぐように大豆をよく洗い、たっぷりの水を入れたボウルに12時間〜24時間程度浸ける。途中、大豆をつまんでみてつるっと皮が剥ける程度まで浸ける。つまんで大豆そのものが崩れるようでは浸け過ぎなので注意。
2./1に手を入れ、きゅっきゅと大豆をもむ。すると大豆の皮が剥けてくる。あまり強くもむと大豆が崩れてしまうので注意。皮が剥けた大豆は縦半分になってボウルの下に沈み、皮は上に浮かんでくる。これをすくって取り除く。こうすると簡単に皮と実をより分けることができる。
皮は簡単に剥けてくる
浮かんだ皮(左)を取り除く
3./皮を剥いた大豆を、圧力鍋で圧力がかかってから中火で10分程度煮る。煮上がりは、圧力が抜けたら豆を取りだしてみて簡単に潰れるかどうかで見る。皮がなく、実も半分なので、皮つき大豆の半分の時間もかからず煮える。圧力鍋がなければ、鍋で1時間程度煮る。
4./大豆を煮ている間に、麹をフードプロセッサーに入れて砕く(熟成期間が短いために、麹の米粒が分解されずに「ご飯つぶ」として味噌に残ることを防ぐため)。フードプロセッサーがなければ包丁で切ってもよい。細かくした麹をボウルに入れ、塩と混ぜておく。
左は砕く前、右は砕いた後の麹
5./煮上がった大豆を40℃程度まで冷まし、2枚重ねたビニール袋に入れ、粒がなくなるまでつぶす。皮がないので、簡単にペースト状になる。ここに4を投入し、袋の上からよくもんで混ぜる。麹が多く、パサパサした感じになるので、大豆の煮汁を入れて普通の味噌ぐらいの硬さに調整。左は基本の赤味噌、右は西京風味噌。色の違いがはっきりわかる。
6./空気を追い出してビニール袋の口を結び、冷暗所に置いておく。3日後ぐらいから麹の香りがしてくる。写真は仕込んだところ。全体は白っぽく、麹の粒が見えている。
7./1週間後ぐらいから食べられるようになる。2週間ぐらい経つと、黄色味が増して、なめらかになった印象。麹と豆がこなれておいしくなる。好みの発酵状態になったら、冷蔵庫に入れて発酵を止める。
2週間経ったので、大根、人参、長ねぎと油揚げの味噌汁と、野菜のディップを作って食べてみました。
味噌汁は、2週間しか経っていないとは思えないほどのコクがあり、大豆のきめの細かさと麹の甘みが効いたやさしい味がします。麹を砕いたため「ご飯つぶ」はほとんど残っておらず、うまく大豆と一体化しています。
ディップも、塩分が少ないためどんどん進みます。これなら2週間に1度ぐらい1袋ずつ作り、いつでも西京風味噌が食べられる状態にしたいと思います。これはオススメです!
コクのある甘口の白味噌汁
味噌はそのままで、とても美味!
「黄身味噌」も応用できます。コク味があって絶品!
旬の筍にのせ、山椒の芽を添えて