以前、米麹の作り方を“My米麹”を作ろう!でご紹介しました。今回は手巻き寿司パーティーなどに活躍する寿司桶を使って、手軽に「麦麹」を作りましょう。麦麹は九州ではポピュラーな麦味噌はもちろん、金山寺味噌、食べる甘酒、白たまり醤油などに応用が効きます。米麹とは一味違った麹が出来上がります。
「麦麹」の作り方
麦麹にする麦は、スーパーで市販されている丸麦、もち麦、裸麦などでOKです。ただし、押し麦は少しべたつくので若干作りにくくなります。麦は蒸しあがりが米よりもパラパラしているので、米よりもまんべんなく麹菌が付きやすく、初心者でも失敗なく作れます。また、寿司桶は麹を混ぜやすく、適度な湿気と温度を保つのでとてもうまく発酵します。
【材料】※作りやすい量
・丸麦、もち麦、裸麦など:500g
・麹菌:4g
・寿司桶
・さらしかタオル
・あんかや携帯カイロ
・温度計(100円ショップで購入可)
・毛布やタオルケットなど保温ができるもの
思わぬところで寿司桶が大活躍!
【作り方】
1./麦は米と同じように研いで、1時間程度水に浸す。米よりも水を吸いやすいので1時間程度でOK。
2./1をザルに上げ、時々上下を返して2〜3時間水を切る。
3./蒸し器で2を1時間程度、麦の中心が飴色になるまで蒸す。
4./寿司桶に蒸し上がった3を入れ、しゃもじで切るようにかき混ぜながらうちわであおいで、表面の水分を飛ばすように急いで冷ます。麹は水分が多すぎるとうまく付かないのでパラパラにすることがポイント。温度計で計り、36℃ぐらいまで下げる。温度計がない場合は手で触ってほんのり温かい程度。
寿司飯を作る要領で冷ます
5./パラパラにして冷ました麦に麹菌をまんべんなく振りかける。茶こしなどを使ってもよい。今回は、失敗しないように麹菌を通常使用する量(麦の重さの0.2%)よりかなり多くしている。多くしても支障はない。少しずつ麹菌を振りかけて、麦全体にまんべんなくいきわたるように手で混ぜ、また振りかけて混ぜを繰り返す。
6./熱湯で煮沸消毒したさらしを寿司桶に敷いて、そこに麦を乗せ、乾燥を防ぎ温度を上げるためにさらしでまとめる。蓋をして寿司桶の下にアンカを置き、桶の温度が32℃前後になるように毛布などにくるんで保温する。蓋がない桶の場合は、段ボールなどを切って蓋の代わりにする。
さらしにくるんで保温する
7./約24時間後、麹菌が育って麦が固まり始めるので、固まりをほぐし再びさらしで包む。なるべく手早く行い、温度が32℃程度になるように保温する。
8./約36時間後、発酵が進んで麦の温度が上がってくるので、温度が上がりすぎないようにさらしから出して、麦を寿司桶全体に広げ、温度を35~40℃程度に保つ。
寿司桶全体に麦を広げる
9./約48時間後、表面が白くなって甘い香りがしたら出来上がり。新聞紙などに広げて水分を飛ばし、冷蔵庫で保存する。
麹菌がまわって白くなる
米麹と比べると、麦麹を作る方が簡単な感じがします。米にしろ麦にしろ、一粒一粒がパラパラになっているほどうまくできるためでしょう。水分が多すぎることと、温度が高過ぎるとうまくできないので、蒸し上がったら寿司飯を作るときのように、うちわであおいで水分を飛ばし、温度を下げることがポイントです。この意味でも寿司桶はバッチリです。まぜやすい上に、木が自然に適度な水分を保ちつつ余計な水分を逃がすため、とてもうまく麹菌が成長します。
(文責・編集部)
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