麹を合わせると味噌は確実においしくなる!
合わせ味噌というと、2種類の味噌を組み合わせて使うことをイメージする人が多いのでは? ここで紹介するのは、できた味噌を合わせるのではなく、仕込みの段階で麹を合わせる「合わせ味噌」です。
麹を合わせるときは、米麹と麦麹をブレンドします。米麹は、白米麹でも玄米麹でもOK。あるいは、両方使っても。好きなようにブレンドできるのが、自家製のうれしいところ。また、麹をブレンドする比率も自由です。作り方の写真では、白米麹と麦麹を1対1で合わせていますが、6対4にしたり、8対2、9対1など、正解はありません。いろいろ試してみて、自分好みの配合を見つけるのも楽しいものです。また、白米麹、玄米麹、麦麹の3種をブレンドしてもよいでしょう。
合わせ味噌は、単独の麹で作る味噌と比べると味わいが濃厚になります。毎日の味噌汁のほか、どんな味噌料理にも合う万能味噌です。
2種以上の味噌を合わせるときの「3つのおいしいポイント」
ちなみに、冒頭で紹介した2種類以上の味噌を合わせて使うときは、よりおいしくなるポイントが3つあります。ひとつめは、米味噌と麦味噌のように、使っている麹が違う味噌を合わせること。ふたつめは、色の違う味噌を合わせること。たとえば、濃い色の味噌と淡い色の味噌、といった具合。3つめは、遠い産地のものを合わせること。九州の味噌と東北の味噌、のようなかんじ。要するに、大きく違うものを合わせることで、より複雑な味を出すという仕組みです。こちらも合わせることでおいしくなるので、ぜひ試してみてください。
【材料(できあがり約1キロ分)】
・大豆:300g(加熱後は約2.1倍=630g)
・白米麹:150g
・麦麹:150g
・自然塩:150g
※乾燥麹を使う場合は戻しておく
※たくさん作る場合は、豆の合計1に対して、麹の合計1、塩0.5の比率で増やす
右上から半時計回りに大豆、白米麹、塩、麦麹
麹は好みでブレンドしよう。右上から半時計回りに白米麹、玄米麹、麦麹
【作り方】
1./大豆はよく洗い、たっぷりの水に12時間以上つけて戻す。
豆を多めの水で戻す
2./圧力鍋で豆を蒸す。蒸すと煮るより旨みが強くなる。鍋の底から5cmほど新しい水を入れて、底に皿などを入れて底上げし、ザルに大豆を入れてフタをして加熱。蒸気が上がりはじめたら、軽く蒸気が出るくらいの火加減にして、約20分加圧して火を止め、15分ほど放置する。圧力鍋がないときは、鍋で豆が柔らかくなるまで3~4時間煮る。
加熱時間は鍋によって調節する
3./指でつまむと簡単につぶれるくらいの柔らかさになるまで加熱する。フタを開けるときはヤケドをしないように十分に注意する。
豆を押しつぶして固さを確認
4./豆をザルに上げて水気を切る。蒸し汁はあとで使うのでとっておく。
蒸し汁は捨てずにとっておく
5./豆を加熱している間に麹を準備。米麹と麦麹をボウルなどに入れ、固まりがあればほぐしておく。
手で固まりをほぐしてバラバラにする
6./麹に塩を入れて混ぜる。
麹に塩を加え、2種の麹と塩をしっかり混ぜる
7./麹に塩をすりこむように混ぜて「塩切り麹」にする。
麹に塩をもみこむように混ぜる
8./加熱した大豆を大きいビニール袋などに入れて、手でまんべんなく押しつぶす。豆が熱いうちはつぶしやすいが、ヤケドに注意。つぶしたら、豆を人肌(36-38度)以下に冷ます。熱いと麹の酵素が働きにくくなる。
豆をしっかりつぶす
9./8のつぶした豆に、7の塩切り麹を加える。
豆と塩切り麹を合わせる
10./つぶした豆と塩切り麹をしっかり混ぜる。味噌だねが固いときは、とっておいた蒸し汁を加えて固さを調節する。固すぎると発酵が遅くなり、ゆるすぎるとカビが生えやすくなるので注意。耳たぶくらいの固さが目安。これで味噌だねが完成。
蒸し汁で固さを調節
11./清潔な容器に味噌だねを詰める。容器はあらかじめアルコールなどでふいて除菌しておく。味噌だねは空気を抜くようにボール状に丸め、容器に詰めていく。
空気を抜いて丸める
12./丸めた味噌だねを容器に入れ、ギュッと押して空気を抜くようにして、みっちり詰めていく。
1個ずつ入れ、手で押して空気を抜く
13./全部詰めたら、表面を平らにならす。
表面を平らにする
14./容器の内側についた汚れなどは、アルコールをひたしたキッチンペーパーなどで拭いておく。カビの予防になる。
容器の内側を拭く
15./表面が空気に触れないように、ぴっちりラップで覆う。
ラップをぴったりのせる
16./塩などをビニール袋に入れて重しをする。重しはしなくてもよいが、したほうがカビの発生する確率が下がる。重さの目安は味噌の半量程度だが、それより軽くても問題ない。
ビニール袋入りの塩で重しをする
17./ホコリが入らないようにフタをして、仕込み完了。常温に置いて発酵熟成させる。熟成期間の目安は6か月から1年。好みの味になったら冷蔵保存するとよい。なお、発酵熟成の途中でカビが出る場合もあるが、カビが出ても失敗ではない。カビは取り除けばOK。カビを取り除いたあとは、ラップを新しいものに交換し、容器の内側はアルコールで拭いておく。
フタをして6か月以上発酵熟成させる
18./できあがり。
仕込み後約6か月
●イワシのつみれとごぼうの味噌汁(合わせ味噌を使ったレシピ)
【材料(2人分)】
・イワシ:2尾
・ごぼう(細):1/2本
・だし汁:300ml
・合わせ味噌:適量
・ネギの白いところ:適宜
【作り方】
1./イワシは3枚におろし、包丁でたたいてすり身にする。ごぼうはささがきにして、酢水(分量外)につけておく。
2./鍋にだし汁を入れて加熱し、沸騰したらイワシを団子状に丸めて入れ、加熱する。イワシに火が通ったら、水気をきったごぼうを加える。ごぼうに火が通ったら合わせ味噌を溶き入れ、沸騰直前に火を止める。お椀に盛り、好みで白髪ネギを添える。
撮影:信長江美
文・レシピ:オザワエイコ
手作り調味料研究家。編集者。自家製調味料の仕込み教室「かもしラボ」主宰。著書に『だからつくる調味料』(ブロンズ新社)がある。