日本でも大人気のチーズ料理
チーズの背景を知ることで、より一層の味わい深さを感じていただこうというこのシリーズ。第6回目は「チーズフォンデュ」をご紹介します。
チーズフォンデュは、スイスの定番料理です。日本でも大人気ですから、皆さんもご存知のことと思います。それでは、チーズフォンデュの主な原材料となるチーズは何だかご存知でしょうか??
チーズファンの皆さんなら、もしかしたらご存知かもしれませんね。チーズフォンデュの主な原材料は「エメンタール」と「グリエール」という2種類のスイスチーズです。熱した白ワインにこの2つのチーズを加え、トロトロに溶かして作ります。
「伸び」と「旨味」をミックスして絶妙の料理に
チーズフォンデュを作るときは、どうしてこの2種類のチーズが中心となるのでしょうか。その理由は、それぞれのチーズが持つ特色にあります。
エメンタールはディズニー映画やトムとジェリーなどでよく見かける、穴の開いたハードタイプのチーズです。エメンタールの特徴としては、「味は淡泊だけど、加熱するとよく伸びる」という点が挙げられます。エメンタールは、カゼインという乳たんぱくがあまり分解されずに残る製法で作られますが、このカゼインには熱すると伸びる性質があるため、エメンタールは加熱するとよく伸びるのです。
一方のグリエールの特徴は、「とても美味しいけど、加熱してもあまり伸びない」という点が挙げられます。グリエールはこのチーズ特集、「味わい深いチーズの世界」の3回目で取り上げた「コンテチーズ」と非常によく似たチーズです。熟成によってたんぱく質が分解されて旨味成分が形成されるため、深い味わいを感じることができます。しかし「伸び」の原因である乳たんぱくを分解して旨味成分に変えてしまっているので、加熱してもほとんど伸びません。ですからもしもグリエールだけでチーズフォンデュをしたら、表面にはくっつきますがボテボテして、ミゾレ鍋のようになってしまうことでしょう。
あのチーズフォンデュ独特の絶妙な伸びと旨味を作り出すには、この2つのチーズを絶妙なバランスで配合する必要があります。
チーズ上級者が遊ぶ「チーズ闇鍋フォンデュ」とは!?
常に冷蔵庫に数種類のチーズをストックしているチーズ上級者ともなると、チーズフォンデュをそのままにはしておきません。途中まで正統派のチーズフォンデュを楽しんだら、後半は闇鍋感覚でいろんなチーズを入れてみるそうです。このシリーズでこれまで紹介してきた「ブリー(白カビチーズ)」や「ロックフォール(青カビチーズ)」などを入れてチーズフォンデュを作ってみたら、案外新しい美味しさに出会えるかもしれません!?