フランスチーズの代表格・カマンベールチーズ
チーズは栄養価が高く、世界中で親しまれている代表的な発酵食品のひとつです。そんなチーズの背景を知ることで、より一層の味わい深さを感じて頂こうというこの企画。第1回は「カマンベールチーズ」と「ブリーチーズ」についてご紹介します。
日本で最も有名なフランスチーズと言えば、カマンベールチーズではないでしょうか。表面が白カビに覆われたこの小型のチーズは、中がトロッとクリーミーで独特の香りと旨味があり、日本にも多くのファンがいます。しかし、実は本場フランスのカマンベールチーズは、日本人からすると驚くような強い臭みがあるのです。ですから日本産のカマンベールチーズは、臭みが強くなり過ぎないように途中で発酵を止めています。
ところでこのカマンベールチーズは、フランスで有名なブリーチーズの模倣品だという説があることをご存知でしょうか?
ブリー(上)とカマンベール(下)
よりまろやかでミルキーなブリーチーズ
ブリーチーズとは、パリから50kmほど東側にあるブリー地方で古くから作られてきた、フランスの伝統的なチーズです。このブリー地方出身のマリー・アレルという女性がパリの西側に位置するカマンベール地方に移住した際に、どうしても故郷のブリーチーズが食べたくなりました。そこで、カマンベール地方で生産が盛んだったリヴァロというチーズの型を使ってブリーチーズを作ったそうです。これがカマンベールチーズの始まりだと言われています。(※諸説あります)
カマンベール地方(パリの西)
ブリー地方のモー村(パリの北東)
カマンベールチーズは直径10cm程度の小型のチーズですが、ブリーは直径が35cm程もある比較的大きなチーズです。製法はカマンベールとほとんど同じですが、ブリーの方がより味がまろやかで食べやすいと言われています。
味の違いは大きさの違いから
なぜ作り方は同じなのに、カマンベールとブリーには風味の違いが生まれるのでしょうか。それはチーズ全体の量に対する表面積の違い、つまり白カビの割合の違いが関係しています。白カビチーズは白カビの酵素によって乳たんぱくがアミノ酸やアンモニアに分解されていくので、熟成が進むと旨味も増すけど臭みも増してしまうのです。ですから体積が大きくて白カビ率が低いブリーの方がアンモニアの発生率が低く、穏やかな旨味と牛乳が持つ本来のミルキーさが感じられて食べやすい味に仕上がります。
同じ製法でも違うブランドを持つ両チーズ。カマンベールチーズが好きな方は、ブリーとの食べ比べを楽しんでみてはいかがでしょうか? 一方カマンベールチーズが少し苦手な方も、ブリーなら食べられるかもしれませんよ。ぜひお試しください。