何かとごちそう続きの年末年始、暴飲暴食を繰り返してしまった人も少なくないはず。胃腸をいたわってあげる頃ではないでしょうか?
1月7日は「七日正月(なぬかしょうがつ)」と言って、江戸時代に定められた五節句〔1月7日の人日(じんじつ)・3月3日の上巳(じょうし)・5月5日の端午・7月7日の七夕(しちせき)・ 9月9日の重陽(ちょうよう)〕のはじめの節句として、朝に七草粥を食べて祝う風習があります。
七草粥は、現代でこそ松の内(お正月飾りを飾る期間)の最終日にあたる1月7日に、おせち料理などで負担のかかった胃腸を鎮める食べ物とした位置づけですが、旧暦1月7日は、2月初旬から中旬頃にかけての春の兆しが現れてくる頃。若葉の芽吹く頃に、1年の豊作と無病息災を願って食べられてきました。
「セリ・ナズナ、ゴギョウ・ハコベラ、ホトケノザ、スズナ・スズシロ、春の七草」と七種類の若菜を、五・七・五・七・七と韻をふんで詠うように覚えた人もいるでしょう。この七草には、選ばれた理由があります。
小泉センセイも「すべて越冬性の強い植物で、昔の人にとって冬枯れの季節にも青物を補給でき、栄養的にも理にかなっていたのです。七草粥を食べれば、万病に効くと信じられてきました。なかでも、芳香性の強いセリは、特に珍重されますが、その匂いの成分はピネン系やフェノール系化合物で、これは心身ともにはつらつとさせる薬効を持っています」と効能を語っています。
健胃効果もあり、弱った身体にもってこいの薬草なのです。
七草の効能を見ていきましょう。
「セリ」・・・ビタミンやミネラルを豊富に含み、風邪予防に効果的。胃腸の炎症を抑える効果や食欲増進効果なども
「ナズナ」・・・とくに高血圧予防に優れる。殺菌・消炎効果が期待でき、利尿作用があることから、むくみ予防にも効果的。ぺんぺん草の別称でも知られる
「ゴギョウ」・・・咳止め、扁桃腺炎に効果的
「ハコベラ」・・・利尿作用あり。虫歯の痛みや切り傷などの痛み止めにもよい
「ホトケノザ」・・・健胃、食欲増進効果
「スズナ」・・・カブのこと。胃もたれ、胸焼けに効果的で、消化促進作用もある。とくに葉部分には多くの栄養があり、ビタミン・カルシウム・カリウムを豊富に含む
「スズシロ」・・・大根の昔の呼び名。消化を促進し、咳止めや神経痛にも効果的
三が日を過ぎると大手スーパーなどで「春の七草セット」としてパックで売り出されています。七草粥は、作ってみると意外と簡単!具材を煮込むタイミングさえおさえれば、おいしく出来ちゃいます。今夜、帰宅途中にスーパーへ寄って、作ってみてはいかがでしょうか。
七草粥の作り方
【材料】2人前
お米・・・1合
七草パック・・・1パック
塩・・・適宜
おだし(カツオや昆布などお好みの出汁で)・・・1ℓ
【作り方】
①といだお米を30分ほど吸水させ、水を切る
②鍋に①のお米とおだしをいれ、蓋をして強火にかける
③沸騰したらとろ火にして、食べやすい大きさに切った実部分のスズナ(カブ)、スズシロ(大根)を鍋にいれ、蓋をして40分ほど煮込む。長時間のおかゆ炊きには、弱火より小さいとろ火がオススメ
④食べやすい大きさに切った葉ものをいれ、さっと火にかけ、最後に塩で味を整えて、完成