日本で有名なのはイタリアチーズ?
チーズの背景を知ることで、より一層の味わい深さを感じていただこうというこの企画。第2回目は「フランス人にとってのチーズ」についてご紹介します。
突然ですが、皆さんは何種類のチーズをご存知ですか?
「カマンベール」「チェダー」「モッツアレラ」「パルメザン」「ゴルゴンゾーラ」。
日本で有名なチーズといったら、このあたりだと思います。「これなら聞いたことがある」と思う名前ばかりではないでしょうか。しかし、これらのチーズがそれぞれどこの国のチーズか、全てを言い当てることができる人はなかなかいないことと思います。
これは日本人の感覚に置き換えると「奈良漬は日本」「キムチは韓国」「ザーサイは中国」とすぐにわかるのに、西洋人から見るとどれがどれだかさっぱりわからない感覚と似ているのではないでしょうか。
ちなみに先ほどのチーズの故郷は、「カマンベールはフランス」「チェダーは主にイギリス」「モッツァレラ、パルメザン、ゴルゴンゾーラはイタリア」が正解でした。こうしてみると、日本ではイタリアチーズが比較的広く出回っていると言えるかもしれませんね。
イタリアチーズとフランスチーズ
モッツァレラ、パルメザン、ゴルゴンゾーラに代表されるイタリアのチーズは、料理によく使われます。ピザやパスタ、サラダなどで見かけたことがあるのではないでしょうか。伸びの良さや加熱すると高まる香りが、イタリア料理によく合います。
一方のフランスチーズは、普通あまり料理には使われません。フランスではテーブルチーズと呼ばれるような、カットしただけのカジュアルな食べ方が一般的です。
「前菜からスープ、メインとディナーを進めていって、コースは全部いただいたけれど、ワインがちょっぴり残ってしまいました。そんなときは最後にワインの余韻を楽しみながら、チーズをおつまみとしてカットしましょうか」といった存在なのです。
これも日本の懐石料理に置き換えてイメージしてみましょう。
「日本酒を飲みながら美味しい懐石料理をいっぱい食べました。でもお銚子が一本あまっちゃったな。ちょっと漬物でも持ってきてよ」こんな感覚でしょうか。
ですからカットしたチーズとワインでもう少し語らって、それからデザートとコーヒーで終わるというのがフランスの一般的な食文化なのです。
こんなところも漬物にそっくり!?
一説によると、フランスには400種類以上のチーズがあると言われています。それぞれの村に独自の伝統的な製法があって、今でもそれらの古くから伝わるチーズが大切に守り継がれているそうです。
これはちょうど日本の各地域に「たくあん漬」「奈良漬」「千枚漬」などの伝統的な漬物が残っているのと同じようなポジションだと言えます。そういえば日本の漬物も料理に使うというよりは、小さく切って白米と合わせて食べるのが一般的です。
フランス人にとってのチーズは、まさに日本人にとってなじみの深い漬物のような存在だと言えるのではないでしょうか。