異なる品種のお米を混ぜて味わう「ブレンド米」。別の品種をブレンドすることで、単一品種では出せない味を自在に表現でき、合わせるおかずや食べるシーンなどによってお米の配合を変えるという食べ方は、お米の楽しみの幅を広げてくれる。
最近では飲食店でもブレンド米を使う店が多い。東京・原宿の「小池精米店」3代目の小池理雄さんによると、鮨店や洋食店、カフェなど、さまざまな店から「うちの店の料理に合うブレンド米を」と注文があるという。
小池理雄さん
お米を吟味中
小池さんのように、お米版ソムリエとも言える「五ツ星お米マイスター」でなくても、家庭で気軽にブレンド米をつくることができるのだろうか。小池さんに手順やコツを聞いた。
1./どういうお米を食べたいのか、どういう料理を食べたいのかを考える。
2./「もっちりとしたお米を、もう少し硬くしたい」「ぱらぱらのお米を、もう少ししっとりさせたい」「柔らかいお米を、もう少ししっかりとした歯ごたえにしたい」「チャーハンを作りたいので、パラパラとしたお米にしたい」など、具体的なイメージが想定できたら、違う特性の品種を組み合わせる。割合は5:5よりも、7:3や6:4など、どちらか一方に偏っているほうが品種の特性がわかりやすくなる。
●もっちりタイプのお米
「コシヒカリ」「ヒノヒカリ」「にこまる」など。
●粘りやもっちり感が際立つお米
「ゆめぴりか」「ミルキークイーン」「夢ごこち」など。
●あっさりとしたお米
「ななつぼし」「ササニシキ」「ふさおとめ」など。
●若干あっさりめなお米
「つや姫」「ひとめぼれ」「東北194号」など。
わからない場合は、「お米マイスター」がいるお米屋さんに行くと、きっと親切に教えてくれる。
3./何度か炊いて調整していき、好みのオリジナル米を見つける。
ただし、最後までおいしい状態で味わうために、冷蔵庫で保管して2週間ほどで食べきるのがおすすめ。最近では、2合ずつ販売しているお米があったり、量り売りをしているお米屋さんもあるので、さまざまな品種を少量ずつ購入すると、ブレンド米を日常的に楽しめる。
お米は工業製品ではないのだから、年によって微妙に味が変わるのは当たり前。小池さんによると、「ブレンド米=偽装米」というイメージを持たれた時代もあったが、本来のブレンド米とは、作柄にかかわらず年間通じて安定的においしいお米を食べるための手法だった。今では単一品種が好まれるが、かつては、米屋ごとに店独自のブレンド米を販売するのが一般的だったという。
まだ残暑が続く中、実は8月初旬から佐賀県や徳島県、宮崎県など、地域によってはすでに新米に切り替わっている。新米を単一品種で味わった後は、ぜひブレンド米に挑戦してみては。また違ったおいしさに出会えるはず。
取材/文:柏木智帆