市販されている鰹節は、削りの大きさや厚さがさまざまです。それぞれに風味が大きく異なります。この風味の違いを知っていればこれまでの料理がワンランク上がるといってよいでしょう。市販のパックは密封包装ですが、空気入りにはチッソガスが封入されて酸化を防いでいます。また、真空包装には脱酸素剤が入って酸化を防いでいます。選ぶ際には鮮度の良いものでなければなりませんが、酸化した削り節は表面がくすんだ色になります。光沢がありきれいな色のものを選びましょう。
削り節の種類と使い分け
【節のまま(一本物)】
市販されている一本物の節はほとんどが枯節です。鰹節には雄節(鰹の背側)、雌節(鰹の腹側)、亀節(鰹の半身)があります。それぞれに特長がありますので、自分の好きな「節」にこだわるようになったら“鰹節通”といえるでしょう。
・特徴:鰹節削り器で作る削り立ての香りやおいしさが味わえます。削りたての香りを楽しみながら用途に応じて厚削り薄削りなど自由に選べます。
・用途:削り方によって吸いものから各種つゆまで幅広く使えます。
【厚削り】
・特徴:じっくり煮出して鰹節のうま味を引き出します。薄削りと違い時間をかけるため、芳ばしい香気から、濃厚な味へと風味が変わります。その濃厚さは醤油との相性が良く、うま味の相乗効果を生みます。
・用途:うどん・そばなどの各種つゆ、味噌汁、煮物など。
【薄削り】
・特徴:短時間で出汁をとるので、透き通る黄金色のだしになり、芳ばしい香りと上品なやさしい味に仕上がります。
・用途:吸いもの、味噌汁、トッピング、お出汁の調味など。
【糸削り】
・特徴:血合抜き節(鰹節の血合〔ちあい〕部を取り除く)を、刃幅を1mm~2mmで糸状に削ります。
・用途:トッピング。
【粉砕品】
・特徴:時間や火加減を調整することにより、厚削りのような濃厚な出汁にも薄削りの軽い感じの出汁にもなります。
・用途:吸いもの、味噌汁、煮物、トッピング、ラーメンスープなど。
削り節の保存方法
削り節の大敵は酸化です。削られた表面が酸素に触れて酸化するのです。節の一本物は酸化しにくいのですが、削り節は密封包装を開けたところから酸化が始まります。酸化すると香ばしい風味が損なわれますので、出来るだけ早く食べきれる量を購入するのも美味しさを保つ知恵です。削り節の最適な保存方法は、開封後、しっかり空気を抜いて、輪ゴムで強く締めて冷凍庫で保管し、できるだけ早く消費するようにしましょう。
【知ってトクする鰹節の世界 1】「荒節」と「枯節」の違いとは??
※協力/イズミ食品株式会社