味わい深いチーズの世界(4) ロックフォールチーズ

カテゴリー:発酵食品全般 投稿日:2016.03.12

古い歴史を持つブルーチーズが満を持して登場!

チーズの背景を知ることで、より一層の味わい深さを感じていただこうというこのシリーズ。第4回目は「ロックフォールチーズ」をご紹介します。

ロックフォールチーズとは、フランスの南部にあるロックフォール村にある洞窟の中でつくられるブルーチーズのことです。「フランスのロックフォールチーズ」と言えばそのあまりの美味しさから、イタリアのゴルゴンゾーラ、イギリスのスティルトンと並んで「世界3大ブルーチーズ」に数えられています。他の2つは牛の乳を使用してつくられるのに対し、ロックフォールは羊の乳からつくられるのが大きな特徴です。一般的に青かびのチーズは塩分が高くてしょっぱいものが多いのですが、ロックフォールは羊乳独特のミルクのコクがあるので、しょっぱいだけではないまろやかさと味の深みが感じられます。

フランス・ロックフォール村

 

2000年前に起きた奇跡

ロックフォールの歴史は古く、2000年ほど前に誕生したという説が有力です。当時のロックフォール村は、麦も育たないような岩場の荒れ果てた地域だったと伝えられています。ですから家畜も、岩場に強い山羊や羊しかいませんでした。

羊飼いたちはお弁当のようなイメージで、「グリーンチーズ」という熟成が進んでいない単純なチーズとパンを持って行動していました。ある日、一人の羊飼いがグリーンチーズとパンを洞窟の中に置き、忘れてしまったのです。しばらくすると、まずはパンにかびが生えます。そしてそのパンのかびが、偶然横に置いてあったチーズに移ってしまったのです。

洞窟の中である日、周りが青かびですっかり覆われたチーズが発見されました。それを思い切って食べたら、思いのほか美味しかったことからロックフォールチーズが生まれた、という逸話が残されているそうです。まさに奇跡の出会いと言えますね。

現在でもAOC(原産地呼称)の関係で、ロックフォール村にある洞窟の中でつくられたチーズしかロックフォールを名乗ることができません。しかもこだわりのある食品会社は、今でもパンでかびを培養してつくっているというから驚きです。

 

おススメの食べ方

ロックフォールもコンテやブリーと同じくフランスチーズなので、基本的にはカットしてそのまま食べます。非常にコクがあって美味しいので、そのまま食べるのがいちばん贅沢で美味しさを堪能できる食べ方です。それでもブルーチーズには独特の臭みがありますから、もし気になるようでしたらハチミツを少しかけてみてください。ロックフォールが持つ塩気とハチミツの甘みが合わさって、相性抜群です。

ワインも同じで、ロックフォールは甘いワインが合うとされています。一緒に飲むのであれば、トロっとして甘い「貴腐ワイン」が特におススメです。貴腐ワインは、貴腐菌を繁殖させて甘みを凝縮させた「貴腐ぶどう」からつくられます。デザートワインとして珍重される、最高級の甘口ワインです。

ディナーの後は、「ロックフォールチーズと貴腐ワイン」という発酵コンビで、香り豊かな夜をご堪能ください。

 

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この記事を書いた人

編集部
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