トルコの定番料理といえば、スパイスやヨーグルトで味付けした牛肉やチキンをぐるぐると回しながら焼いた「ドネル・ケバブ」が最も有名だ。他に、牛や羊の挽肉を焼いた「キョフテ」というハンバーグのような料理、子羊の腸を引き伸ばしてドネルのように焼いた「ココレッチ」というホルモン焼きのような料理など、肉料理が広く知られている。
しかし、トルコはパンや野菜、魚、フルーツ、ナッツ、スイーツなど、さまざまな食材があり、世界三大料理と言われるだけあって、中東諸国の中でも外食産業が発達している。
下の写真はイスタンブールの旧市街にある『エジプシャンバザール』。もともとはスパイスマーケットとして栄えたというが、現在は、オイルやドライフルーツ、ナッツなど、さまざまな店が軒を連ねる。
エジプシャンバザール
下の写真はドライフルーツに切り込みを入れてナッツを挟んだものや、ドライフルーツのまわりに砕いたナッツをまぶしたものなど、ノンシュガーのスイーツが並ぶ。
ドライフルーツのスイーツ
果汁とハチミツで固めて中にナッツを入れたゼリー状のノンシュガー菓子もポピュラー。色とりどりで見た目も楽しい。
色鮮やかな菓子が並ぶ
そして、ユニークなのが、米をはじめとした具材を野菜や貝に詰めた「ドルマス」という料理だ。
たとえば、ブドウの葉のごはん包みは、「ヤプラク・ドルマス」。ブドウの葉がヨモギのような風味で、ごはんとの相性は抜群だ。
ヤプラク・ドルマス
ムール貝の殻にごはんを詰めた「ミディエ・ドルマス」は、ひんやりと冷たい料理。寒い日は食が進まないが、暑い夏にはキリリと冷やした白ワインが合う。
ミディエ・ドルマス
ピーマンにごはんを詰めた料理は「ビベル・ドルマス」。その姿形は、日本でポピュラーな「ピーマンの肉詰め」を彷彿とさせる。大きめのピーマンの場合は詰められる具材の量も多いため、豆を混ぜたごはんやシナモンを混ぜたごはんなど、中身のバリエーションが豊富だ。
ビベル・ドルマス
中粒種のお米をオリーブオイルで炒めてしっかりと味付けしたドルマスは、お酒の締めではなく、お酒の肴になるごはん。
いなり寿司やイカめしもドルマスと捉えて、お酒とのペアリングを探究すると、お米の楽しみ方の幅がもっと広がるかもしれない。
取材/文:柏木智帆