ベトナムで浸透し始めたおむすび
日本人とベトナム人とでは、お米の嗜好や合わせる料理が異なる。しかし最近では、日本食ブーム、寿司ブームで、日本食料理店は増え続け、ホーチミン市内だけで500軒にものぼるという。
また、現地のスーパーなどではベトナムで栽培されたジャポニカ米や、日本から輸入した日本米も販売されているなど、日本のお米は少しずつ浸透しつつある。
スーパーに並ぶ米袋
ベトナムではかつて、ごはんを押し寿司のように押し固めてから切って食べる「コムナム」と呼ばれる“ベトナム版おむすび”があったが、戦時中に食べられていたため、年配者を中心にコムナムに対して良くないイメージがあり、日本のおむすびにもそのイメージをつなげている人もいるという。
ところが、近年では日本企業によるコンビニエンスストアが増え続け、そこでおむすびも販売していることから、若者を中心におむすびに対するイメージは確実に上昇傾向にある。
下の写真はコンビニで売られているおむすび。具材は「テリヤキチキン」「グリルチキン」「ツナマヨ」「サーモンマヨ」など海外ウケしそうなものが多い。
コンビニのおむすび
お米はお米の特質に合わせて調理することで、おいしい食べ方を見つけられる。日本では1993年の記録的な冷夏による米不足時、輸入されたタイ米が嫌われた。
しかし、お米に合った調理法や食べ方をしていれば、タイ米のおいしさがもっと生きたはずだ。もっちりふっくらとしたごはんよりも、パラパラぼそぼそとしたごはんが主流のベトナムでも、ジャポニカ米に合った食べ方や調理法がセットで提供できれば、人々の食卓により浸透するかもしれない。
日本からベトナムへは、コシヒカリだけでなく、ひとめぼれなど多様な品種の輸出も始まっている。
海外の一部では、「日本米=コシヒカリ」というイメージが広がっているが、コシヒカリよりもあっさりさっぱりとした品種など、さまざまな日本米を知ってもらうことが、ベトナムでの日本米の普及を後押しするかもしれない。
【世界のご飯】ホーチミン市のベトナム米食べ歩き!! 「お米大国」最新ベトナム食事情(1)
取材/文:柏木智帆