「衣笠(きぬがさ)丼」と聞いても、京都人以外の方には「?」かもしれませんね。
平安時代、宇多天皇が真夏に(!)「雪山が見たい」と所望され、山に白絹を掛けて雪山らしく装ったことがあるそうです。その山が「絹かけ山」、現代では「衣笠山」と呼ばれています。「衣笠丼」は、油揚げの茶色い地肌、ネギの緑、その上に置いた卵の黄身と白身の姿から、伝承に見立てた料理です。
京都で「お揚げ」と呼ばれる油揚げは、大豆由来のタンパク質が豊富なうえに満腹感が得られ、経済的な食材。お出汁しみしみで、卵との相性も最高です。
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衣笠丼の作り方
お出汁は、関連記事の【京風お出汁で簡単料理①「はりはり鍋」】で作ったものを使います。
油揚げは油抜きをして、油の臭みを取り、味をしみ込みやすくさせます。
ネギは、京都の九条ネギだと緑部分が多いのですが、一般的な長ネギでもOK。緑部分も使いましょう。
【材料】(2人分)
・油揚げ:1枚
・長ネギ:1本
・お出汁:300ml
・卵:3個
・ご飯:400g
【作り方】
1./小さいフライパンか小鍋に水を入れて沸騰させ、油揚げを入れて軽く煮る。油揚げを取り出し、粗熱が取れるのを待つ間に、使用したフライパンか小鍋を軽く洗っておく。
油揚げの油抜きをする
2./油揚げの粗熱が取れたら、タテ2つに切った後、幅1.5センチほどの短冊切りにする。長ネギは白い部分と緑の部分に分け、それぞれ斜め切りにする。
油揚げと長ネギを用意する
3./1で使用したフライパンか小鍋にお出汁、2の油揚げと長ネギを入れ、中火にかける。
お出汁で煮る
4./長ネギがしんなりしたら、油揚げと長ネギとを混ぜる。
お出汁が具材にしみ込む
5./卵を溶いて、まわし入れ、お好みの硬さになるまで煮る。
卵はお好みの硬さまで煮る
6./丼2つにご飯を入れ、それぞれに5の具材をのせて出来上がり。
衣笠山に見立てた「衣笠どんぶり」
福田恭子/発酵食品ソムリエ。薬膳コーディネーター。フリーランス・ライター。京都市生まれ。ドイツ・テュービンゲン大学で学ぶ。文化を専門として茶道家元や京都の老舗料理店の広報誌編集長を務め、国内各地や世界50カ国以上で取材。
文庫版サイズ(厚さ1.2×横10.5×縦14.8cm)
304頁
定価:本体1,800円+税
発行:株式会社IDP出版
ISBN978-4-905130-43-7
◎入手方法
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