江戸時代、もり蕎麦のつゆと言えば、醤油が普及するまでは味噌を水に溶いて濾したものが一般的だったそうです。今回は醤油が庶民でも使えるようになった江戸中期以降の、醤油をベースにしたつゆを再現します。変わっているのが濃い目につくったつゆの素を、大根おろしの汁で薄めて好みの味にすることです。薄めるおろし汁は、辛味のある大根なら辛口、青首大根など甘味のある大根なら甘口のやさしいつゆができます。
大根の汁で薄める蕎麦つゆの作り方
江戸時代の「料理大全」などの料理書籍によれば、辛味のある大根でつくるように書かれていますが、辛すぎると食べにくいので普通の青首大根を使います。また江戸期は味醂や砂糖が非常に高価で、庶民ではなかなか使えなかったため、醤油と若干甘みのある日本酒だけの塩辛い味がベースになっていました。現代に合わせて食マガジンでも紹介している醤油、味醂、砂糖がベースの「かえし」を使います。
鰹出汁の効いたかえしは万能調味料になるので、多めに作っておいて、冷蔵庫に保存しておくと煮物などに使えて便利です。長期保存が可能です。
【材料】
・醤油:200ml
・本味醂:40ml
・砂糖:大さじ3~4
※砂糖を減らすと、キレのある辛口の江戸風のつゆになります。
・鰹節:10g
・大根おろしの汁:適量
【作り方】
1./本味醂を鍋に入れて火にかけ沸騰させてアルコールを飛ばす。そこに砂糖を入れてよく溶かす。
2./醤油を入れ、煮立たせないようにごく弱火にする。そこに鰹節を入れて20分程度煮る。
煮立たせないように静かに煮る
3./2を濾して鰹節を取り出す。取り出す際、鰹節はペーパータオルに入れてよく絞っておく。絞った鰹節はそのまま佃煮になり、おにぎりの具材などで食べられる。
4./大根をおろし、絞っておろし汁を作る。
おろし汁を作る
5./3をそばちょこなどに1/3程度入れ、そこに4を少しずつ、好みの濃さになるまで入れて出来上がり。
(文責・編集部)
文庫版サイズ(厚さ1.2×横10.5×縦14.8cm)
304頁
定価:本体1,800円+税
発行:株式会社IDP出版
ISBN978-4-905130-43-7
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