こんにちは。発酵美容家のザイマリです。江戸時代中期までの醤油が希少品だった頃、蕎麦やうどんを食べる時に一般的に食されていたのが味噌味の麺つゆ“煮貫(にぬき)”です。
1643(寛永20)年発行の日本最古といわれている料理本『料理物語』の中で“煮貫”について、「生垂(なまだれ)にかつほを入、せんじこしたるもの也」「味噌五合、水一升五合、かつほ二ふし入せんじ、ふくろに入たれ候、汲返(くみかえ)し汲返三返こしてよし」と記されています。
・生垂(なまだれ)…味噌一升に水三升を布袋に入れ、したたり落ちる液汁をとったもの。【煎り酒】と同じように醤油の代用として使われ、現在の“タレ”の語源になったとも言われている。
その作り方は簡単で、まず味噌を約3倍の水で溶き濾した“生垂”を作り、これに鰹節を入れて煮てまた濾す(こ)と“煮貫”になります。
煮貫(左)と醤油ベース麺つゆ
味噌の種類によって出来上がりの色に違いはありますが、器に入れると麺つゆそのもの。味は醤油ベースの麺つゆより角がなくマイルド。鰹出汁の香りと旨みが引き立ち、最後に味噌の香りがほんのり鼻に抜け、蕎麦の味を邪魔せず丁度いいあんばいになります。
●昔ながらの煮貫の作り方
【材料】(2〜3人分)
・味噌:150g(今回は米味噌を使用)
・水:450ml
・鰹節:10g
※ 味噌はお好きな味噌でOK。
【作り方】
1./味噌を水で溶きます。
味噌3:水1の割合
2./ボウルにザルとキッチンペーパーをセットし、1.を濾します。
時間はかかりますがその分澄んだ色の“生垂”になります。
さらし布だと早く漉せる
3./生垂を鍋に移して煮立ったら、中火にして鰹節を入れて数分間煮出します。
不思議と味噌汁の香りではない
4./3.を濾し、常温まで冷ましたら“煮貫”の出来上がり。
鰹節の良い香り
蕎麦の風味引き立つ煮貫
※濾して残った味噌も使わないともったいない! 塩味が程よく抜けており、胡麻と砂糖(又は煮切り味醂)と混ぜ合わせ野菜と和えれば、美味しい胡麻味噌和えの出来上がり。
かぼちゃの胡麻味噌和え
ザイマリ/完全紹介制食育エステティックサロンオーナー。エステティシャン歴12年。企業や団体への講演やセミナー講師・執筆業・食育指導など多岐に渡り活動中。