先日、納豆を原料にした味噌を紹介しました(納豆で味噌は作れるか?)。編集部では1年前の同時期、豆味噌を豆麹から作ることに挑戦していました。しかし、豆麹の発酵中に温度管理に失敗、納豆菌が付いてしまい、いわば「味噌が納豆」となって失敗しました。しかし、納豆菌が付いた味噌はどういう経過をたどるのか、1年間観察を続けました。
今回は、1年後の「納豆で味噌」と「味噌が納豆」の違いについて報告します。
●匂いについて
納豆で味噌
→納豆臭はほぼしない。味噌汁にすると、かすかに納豆臭がするが、生では感じない。
味噌が納豆
→強烈な納豆臭。年月が経てば少しは納豆臭が消えるかと思ったが、まるで逆。古くなった納豆のアンモニア臭に近い。
●色について
納豆で味噌
→八丁味噌のような濃く深みのある茶色。
味噌が納豆
→「納豆で味噌」より色が薄い。
●糸引きについて
納豆で味噌
→糸引きはほぼゼロ。言われなければ原料が納豆だったとは思えない。
味噌が納豆
→納豆ほどではないが、なんとなく粘る。
●味について
納豆で味噌
→まろやかな味噌の味。納豆の旨味が入っているのか?普通の味噌より美味に感じられる。
味噌が納豆
→アンモニア臭に負けないように食べないとならない。白いツブツブ「チロシン」があり、食べるとジャリッとする。はっきりいって美味しくない。とても古くなった納豆を食べている感じ。
「納豆で味噌」は暗褐色
「味噌が納豆」にはチロシンの粒が
「納豆で味噌」は、原料の納豆が柔らかく、すりつぶすのも簡単で、とても滑らかな味噌になります。味噌汁より、野菜スティックなどにつけて食べると美味しいと思います。これに対し、「味噌が納豆」は魚の味噌漬けなど、直接味噌を食べない料理に使えるか?ぐらいだと思います。正直、アンモニア臭がきつく、厳しいものがありそうです。
豆麹の失敗から「味噌が納豆」ができてしまいました。豆麹の自作は難しい、と感じた1年でした。