前回、「糠漬けの季節到来! My糠床を作ろう(1)」で美味しい糠床の作り方をご紹介しました。今回は糠床や糠漬けによくあるトラブル解決法をご紹介します。
糠床が臭い!
糠床の中には、産膜酵母、乳酸菌、酪酸菌などの菌がいます。このうち、産膜酵母はかき混ぜないと表面に張ってくる白い膜で、これが張るとシンナーのような臭い、酪酸菌が増えるとアンモニア臭がすると言われています。産膜酵母は酸素が好きなので、かき混ぜないでそっとしておくと空気に触れている表面にはびこります。また酪酸菌は酸素がないとところで増える菌なので、かき混ぜて空気を入れないと増えていき、臭くなるのです。つまり、臭いを防ぐには空気を入れさえすれば良いので、1日1回はかき混ぜるようにしましょう。臭くなった糠床はとにかくかき混ぜることです。最初は臭くてもへこたれずに手間をかけると、不思議と臭いが消えていきます。
旅行などで留守、手入れができない!
糠床ごと冷蔵庫に入れておけばOK。箱が大きくて入らなければビニール袋に入れて冷蔵庫へ入れておけば臭くなりません。また長期間不在になるようなら冷凍庫に入れておきましょう。
真夏や真冬の管理法がわからない!
美味しい糠漬けができる適温は20~25℃です。30℃を超えると異常発酵するおそれがあり、糠漬けがすぐ酸っぱくなります。そこで真夏は冷蔵庫で漬けるようにします。冷蔵庫で漬けると、漬かるまでは常温の2倍の時間がかかりますが、かき混ぜる回数は常温の半分でOKです。真冬でもマンションなどの温かい部屋に糠床があれば、時間はかかりますがちゃんと漬かります。温度が低い場所にある場合は、糠漬けはお休みです。
糠漬けがまずい!
昆布、煮干し、干し椎茸、鰹節、酒粕などを入れ、生ぬかと塩を足してよくかき混ぜてください。こうして手入れをしてから2,3日経つと糠床の乳酸菌が活発になり、昆布や煮干しなどの旨味と相まって糠漬けを美味しくしてくれるようになります。
糠床が美味しければ糠床そのものを調味料として使う料理もあります。
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糠床にカビが生えた!
糠床に生えるカビのようなものとしては、白いものとそれ以外の色付きがあります。
●白色…産膜酵母なのでカビではない
→産膜酵母が少なければそのままよくかき混ぜる。多ければ取り除いてよくかき混ぜる。
●白以外の色付き…おそらくカビ
→糠床に生えたカビの部分は深さ3cmぐらいをごっそりとこそげとって捨てる。残りの糠を取り出して容器をよく洗い、日にあててよく干す。その後、糠を戻して新しい糠と塩を足す。
漬け物は生活習慣病の予防食
当マガジン総合監修の小泉センセイも、『民族と食の文化 食べるということ』の中で「漬物という発酵食品が成人病の予防食であるということは、是非知っておいて欲しいと思います。各種研究機関の臨床実験などによって、漬物には中性脂肪やコレステロールの増加といった老化現象を抑制し、動脈硬化、がん、心臓病、糖尿病などの進行を予防する働きがあるということが、現在では定説になっているのです。」と書かれています。
ぜひこの機会に、My糠床で糠漬けを作ってみてください。
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