「さつま芋だけは食べたくない。戦後の食糧難時代に嫌というほど食べたから」と言っていた90代のあるお年寄りが、孫に強く勧められて焼き芋を恐る恐る口に入れたところ「あれっ、旨い!?」
さつま芋は劇的に美味しく進化していたのです。
そこで、戦時食だったという「芋がゆ」を作ってみました。とはいえ現代風に白米たっぷり、塩の代わりに塩麹を使用します。塩麹には、塩分の摂り過ぎを防ぎ、腸を整える効果があります。
できあがったおかゆは、さつま芋の甘味と塩麹のまろやかなしょっぱさが溶け込んでいて、お年寄りにも若い人にも大好評。「腹持ちが良く、ダイエットになりそう」という声も。
豊かな時代の美味しい芋がゆ。二度と食糧難の時代になりませんようにと祈りつつ、完食でした。
芋がゆの作り方
戦時中を思い、土鍋で炊きました。ふっくらと仕上がります。もちろん炊飯器でもOK。指定の量の水で炊いてください。炊きあがってから、お好みの柔らかさに調節しましょう。
【材料】
・さつま芋:1個(約250~300g)
・米:2合
・塩麹:大さじ4
・酒:20ml
・水:980ml(ご飯を炊くのに480ml、おかゆにするのに500ml)
【作り方】
1. /米を洗い、浸るほどの水(分量外)に浸けて1時間ほど置き、吸水させておく。
2./さつま芋は、皮の硬い所や黒くなっている部分を切り捨てる。1センチ四方のサイコロ状に切り、水(分量外)に10分ほど浸けてアクを抜く。
皮は全部むかなくてもよい
3./1の水を捨て、米を土鍋に移し、塩麹、酒、水480mlを入れて、さっと混ぜる。2のさつま芋をのせる。
さつま芋を上に置く
4./蓋をして中火にかける。沸騰したら弱火にして10分炊く。火を止めて蓋をしたまま10分蒸らす。
5./蓋を開けて底から混ぜる。さつま芋ご飯の出来上がり。
ふっくら美味しいさつま芋ご飯
6./5をおかゆにする。水500mlを加えて、弱火にかける。焦げないように底から混ぜながら全体に火を通す。もっと柔らかくしたい場合は、水を少量ずつ足し入れる。
現代の芋がゆは美味しい!
福田恭子/フリーランス・ライター。京都市生まれ。ドイツ・テュービンゲン大学で学ぶ。文化を専門として茶道家元や京都の老舗料理店の広報誌編集長を務め、国内各地や世界50カ国で取材。2021年に発酵食品ソムリエの資格を取得。