プロフ、という米の炊き込み料理がある。
中央アジア一帯のシルクロードエリアでは非常にポピュラーで、家庭料理やカフェやレストランの定番メニュー。
ポロ、オシュなどとも呼ばれていて、ユーラシア大陸を広く見渡せばピラフ、プラーオ、ビリヤニ、パエリアなどの米料理とも親戚関係にある。
羊肉や玉ねぎ・にんじんなどを油で炒めた具材と洗った生米を一緒に炊く。
レシピは100以上あり、豆や干しぶどうを入れるもの、カズーという馬肉のソーセージをのせるもの、黄色いにんじんを大量に使うものなど、地方によって様々な特徴がある。
しかしなんと言っても、プロフの本場はウズベキスタン。
直径1mはあるカゾンという大きな鍋で一気に炊き上げる調理方法は圧巻。
米を炊くときに、大きな鍋に蓋をするかわりにお皿を何枚も敷き詰める。
もともと、乾燥していて水が貴重な中央アジアでは、栽培に水がたくさん必要な米は貴重な食材だった。
だから、米を使った料理であるプロフは、冠婚葬祭や記念日などの特別な日の料理。
特別な日には、家族、親戚、ご近所さん、友人などなど、大鍋の中のプロフが空っぽになるほど、たくさんの人が集まる。
「同じ釜の飯を食う」仲間のなんて多いことか。
プロフを炊く鍋が大きい理由は、人と人の繋がりが強くて広いものだから。
豊かな食文化は、豊かな人間関係が紡ぎ出すものでもある。
取材/文:市川亜矢子