1人当たりのお米の消費量が日本の2.5倍(※)という“お米大国”タイ。主食としてお米を食べるだけではなく、スイーツにもお米が使われている。
日本で粒のままお米を使ったスイーツと言えば、おはぎが代表的だが、タイでポピュラーなのはフルーツと一緒にお米を食べるスイーツだ。
「カオニャオ・マムアン」は、甘く炊いた長粒種の糯米(もちごめ)とマンゴーの組み合わせ。それだけでもすでに甘いが、さらにココナツミルクも添えられている。これもまた甘い。
カオニャオマムアン
糯米は白色のほか、ピンク色、緑色、青色など着色されたものもある。特に緑色に着色された糯米の菓子は街なかでよく見かける。人工的な着色料ではなく、「東洋のバニラ」とも言われる甘い香りの「パンダンリーフ」というハーブで炊き込んでいるという。
緑色の糯米
バンコクにある国立カセサート大学のウィーラシット・サンパモンコンチャイ名誉教授によると、長粒種の糯米はうるち米に比べて生産量も品種数も少なく、価格も安い。代表品種は「RD6」。主食として食べるのは東北部のみで、バンコクではイサーン料理(東北部の郷土料理)の店以外はスイーツに使われている。
稲に詳しい農学者の佐藤洋一郎さんによると、東北部の農村では、少量で腹持ちの良い長粒種の糯米を栽培して主食として食べていたが、経済発展や機械化の影響で、長粒種のうるち米が好まれるようになってきているという。
たしかに糯米はお腹にどっしりと重たいが、タイ人を見ているとバンコクでも糯米のスイーツは人気。「スイーツは別腹」は万国共通のようだ。
(※)旅行サイト「トリップアドバイザー」が2015年に発表。
取材・文/柏木智帆