今回の酸っぱさの相伴相手は、脂ののった戻り鰹です。
たんまりと美味しいえさを食べたカツオが南下してくる今の時期のカツオは、ぜひとも食べたい逸品です。カツオを切った包丁の面には白く光る脂。そんな赤身と脂が共存する、力づよい戻り鰹を、酸っぱさを軸にした合わせ酢でいただきます。合わせ酢をぐんと美味しい味わいに引き立てるのは出汁。出汁を用意するのはちょっと億劫と感じられるかもしれませんが、合わせ酢に出汁が入ることで、なんともまろやかな味わいの酢のものに仕上がります。
戻り鰹ときゅうりの酢のものの作り方
【材料】(2人分)
・カツオ:60g
・きゅうり:1本
・生姜:20g
・出汁:大さじ2
・米酢:大さじ1
・りんご酢:大さじ1/2
・淡口醤油:小さじ1
・砂糖:小さじ1
・塩:ひとつまみ
【作り方】
1./カツオを1cmほどのさいの目切りにする。
切ったら仕上げの直前まで冷蔵庫へ
2./きゅうりを薄切りにし、塩を少々、10分ほどおき、しんなりしてきたらやさしくもんでしぼる。
きゅうりが塩でしんなりしたところ
3./生姜を洗い、皮をむき、おろす。
4./小鍋に、出汁・米酢・りんご酢・淡口醤油・砂糖・塩を入れ、軽く混ぜたのち、火にかけ、ひと煮立ちさせ、冷ます。
5./4の合わせ酢に3の生姜を入れ、1のカツオと2のきゅうりを手早く混ぜ合わせ、器に盛り付けて出来上がり。
食べる直前に材料と合わせ酢を混ぜる
写真は1人分、銘々盛りの例
カツオは、サクでも、お刺身セットになっているものでも、手に入るもので構いません。もしあったら切り落としなど不揃いのものでも大丈夫です。
合わせ酢をふくよかに美味しく作ることで、酢のものが主役級のごちそうに仕上がります。調味料の種類が多いとむずかしそうに見えてしまうかもしれませんが、切って混ぜるだけの簡単な酢のものです。ぜひトライしてみてください。
(文・写真◎奥田ここ)
国内外各地の市場を「師」とあおぎ、様々なスタイルでの和食及びイタリア家庭料理の料理教室を主宰。各種媒体・広告へのレシピ提供や食材産地の取材および食に関する企画・執筆、オーダーメイド仕様の出張料理など、国内外問わず活動中。素材の味を大切にし無駄なく使い切る献立作りを心掛けている。
kokookuda(https://www.instagram.com/kokookuda/)
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