「木の芽どきは気ぃつけんとあかんえ」。毎年繰り返されていた祖母の注意です。
木の芽とは山椒の新芽のこと。この時季は、五月病という言葉があるように、春から夏へと移る季節の変わり目で体調が崩れやすいうえに、4月の緊張がほぐれて精神的にもふっとタガが外れてしまいがち。
木の芽を料理に使いましょう。サンショウオールという辛み成分には胃腸を元気にする効能があります。胃腸が元気になれば、心身も元気になります!
ところで、祖母の言葉ですが、女の子に向かって「薄着になる季節やさかい、チカンも増える。気ぃつけや」という意味を含んでいました。皆さま、いろいろとお気をつけて。
木の芽味噌の作り方
柔らかい新芽なら、そのまま使えます。固い場合は、葉っぱだけを取り、熱湯でさっと湯がいてください。
消毒した瓶に入れて、冷蔵庫で1カ月ほど保存できます。この時季の副菜として、もう一品ほしい時に便利です。
【材料】
・山椒の葉:5g程度
・白味噌:50g
・砂糖:10g
・みりん:大さじ1
【作り方】
1./山椒の葉は柔らかければそのまま使う。固い場合、茎から葉だけを取ってさっと湯がく。
固い場合は葉だけ使う
2./すり鉢で、しっかりすりつぶす。
木の芽をすりつぶす
3./白味噌、砂糖、みりんを入れて、する。砂糖が溶けて舌ざわりがよくなるまで。
舌ざわりの良い木の芽味噌に
●タケノコの木の芽味噌和え
タケノコの姫皮(先の部分)を薄切りし、木の芽味噌適量で和える。
木の芽味噌料理の定番
●ナガイモの木の芽味噌和え
ナガイモを薄切りし、水にさらして変色を防いだ後、木の芽味噌適量をのせる。
シャリシャリの食感と木の芽味噌の風味
●木の芽味噌の田楽
水切りした焼き豆腐やアク抜きしたコンニャクに木の芽味噌をたっぷりのせる。お好みで、オーブントースターなどでさらに焼いてもよい(写真は焼いていません)。
焼き豆腐(上)とコンニャク(下)
その他、タラなどの魚に乗せて焼いたり、ゆでたジャガイモやカマボコに和えても美味しくいただけます。
福田恭子/発酵食品ソムリエ。フリーランス・ライター。京都市生まれ。ドイツ・テュービンゲン大学で学ぶ。文化を専門として茶道家元や京都の老舗料理店の広報誌編集長を務め、国内各地や世界50カ国で取材。