一般に食品に使われる赤色色素は、合成着色料やコチニール色素、パプリカなどの色素、そしてベニコウジ色素です。合成着色料は、かつてタール系色素とよばれ、食品表示的には赤色○号と書いていたものです。コチニールはカメムシの仲間のカイガラムシから抽出される色素。ポリフェノールは、パプリカのカプサンチンというカロテノイド(ビタミンA)物質です。ベニコウジ色素は、ベニコウジ菌であるモナスカス属から抽出されたものです。これらの色素にはメリット、デメリットがあります。
合成着色料は、食品の中のpH(ペーハー:水素イオン指数)などの環境に対して安定性があることです。一方、社会的に合成着色料を使わない動きがあります。特に食品では敬遠され、合成着色料不使用をうたっているメーカーもあります。また、コチニールは、アレルギーなどの問題が報告されます。ポリフェノールもpHの安定性に問題があります。
一方、ベニコウジ色素は、pHの影響が少ないといわれます。そのため、紅白かまぼこなどの「練りもの」の着色に利用されています。
ベニコウジ菌も凄い!
ベニコウジ菌は、沖縄や台湾では、古くから米に生育させた紅麹として使われてきました。例えば、沖縄の豆腐である島豆腐を紅麹と泡盛によって発酵・熟成させ「豆腐よう」に使われています。また台湾では紅酒などに使われています。紅麹から味噌なども作られています。色素成分は、アンカフラビンやモナスコルブリンという物質で安定性があります。
また、ベニコウジ菌が生産する色素ではない物質のモナコリンは、血清のコレステロール降下作用を示すことが報告され、海外では、医薬品として血清コレステロール降下薬として認められています。
発酵は、発酵食品だけでなく、様々な分野でも利用されているのです。
発酵の奥深さの一端といえます。
金内誠(宮城大学教授)
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