【今さら聞けない発酵の疑問(26)】「本みりん」と「みりん風調味料」は何が違うのか

カテゴリー:発酵食品全般 投稿日:2022.01.07

食品スーパーの調味料棚には、みりんが何種類も並んでいますが、よく見ると「本みりん」や「みりん」、「みりん風調味料」あるいは、「発酵調味料」と書いてあるものがあります。

「本みりん」は、焼酎や醸造用アルコール液に、もち米と米麹を漬け込んだものとされています。こうすることで米麹中の酵素が作用して、もち米を分解し、米中のデンプンがブドウ糖や麦芽糖へと分解します。また、タンパク質なども分解することで、アミノ酸なども生じるために、甘くてうま味の強いみりんができ上がります。

 

一方、「みりん風調味料」は、アルコールを使わず、塩や調味液、砂糖などを添加し、成分的にみりんに寄せた調味料を指します。

最近では、さらに「発酵調味料」というものも販売され、「みりん」に調味液や2%塩を添加し、お酒としては飲めないようにされた種類もあります。料理の時には、この塩分を差し引いて、調整する必要があります。

 

ところで、なぜ塩を添加したのか。答えは、塩を加えることで酒類にかかる税金を安くし、より安い調味料を販売することができるからです。

「みりん風調味料」は、アルコールを含んでいないために魚などの生臭みなどを洗い流すことができずに、消臭効果はありません。「みりん」はアルコールが、魚の中にしみ込んで、生臭みを抽出するのと同時に、アルコールと一緒に揮発させてくれます。

また、「みりん」には、甘味の浸透効果が強いだけでなく、煮崩れ効果も高く、煮物など日本の家庭料理に欠かせないものです。

 

「みりん」と一口に言っても用途にかなった使い方が必要になってきます。

かつては、「みりん」は、焼酎で薄めて適度な甘さにする「本直し」という処理を行った後に飲料にしていました。お正月のお屠蘇は、「みりん」で造っていました。本直しは「柳蔭」といい、江戸時代は夏の飲み物でした。本直しを製造している醸造所もあるので、ぜひ試してください。

金内誠(宮城大学教授)

 

 

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