一般にワインは、酵母で発酵させるもの!と思われていますが・・・。
ワインはご存知の通り、果汁を発酵させたアルコール飲料です。日本では、イチゴでも、梨でも、メロンでも果実酒・ワインとなります。
しかし、世界的にワインといえば、ブドウから造られるグレープワインを指します。ワインは英語で「wine」、フランス語で「vin」、ドイツ語で「wein」といいます。これらはいずれも、ブドウの木を意味するvitisが語源ともいわれています。
赤ワインは、黒ブドウを使います。黒ブドウは、収穫技、梗といわれるブドウの実と実をつないでいる枝を取り除いた後に、皮ごと発酵させ、皮の色素や渋みのタンニンなどを抽出しながらアルコール発酵させます。このように皮ごと漬け込んで色素やタンニンを抽出させる発酵を「かもし発酵」といいます。目的の色素やタンニンを抽出させ、さらに皮や種を分離させた後に、さらに発酵させ完全に糖をアルコールに変換させ、辛口に仕上げます。これが赤ワインとなります。
白ワインは、黒ブドウでも白ブドウでも原料にすることができます。ブドウを収穫後、梗を除き、最初に皮と種を分離させます。白ブドウの実は、皮に色がついていないので、皮とジュースを分離させると、「赤くない」ジュースが得られるのです。これを発酵させると白ワインができます。
赤ワイン、白ワインでも、高価なワインは樽の中で熟成させます。そうすることで、微量の酸素と触れ合うことで熟成(酸化熟成)するだけでなく、アーモンドやトーストのような香ばしい芳醇な樽の香気がワインに移ります。さらに、樽の中のワインは、乳酸発酵をするのです。この乳酸菌は、オエノコッカスといい、「ワインの球形乳酸菌」という意味の名前をもつ乳酸菌です。オエノコッカスは、ワイン中のリンゴ酸という有機酸を「えさ」に、乳酸を造ります。これをマロラクティック発酵といいます。リンゴ酸をマレート、乳酸をラクテートといい、つまりリンゴ酸‐乳酸発酵という意味です。
リンゴ酸は、強い酸味をもちますが、乳酸は穏やかな酸です。そのためマロラクティック発酵した後のワインは、酸が穏やかになり美味しくなるわけです。
つまりは、美味しいワインは乳酸発酵で造られるというわけです。
金内誠(宮城大学教授)
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