日本のワインの発祥の地であり、国産ワインの3割を生産する山梨県で、醸造用ぶどうの栽培を目指す新規就農希望者に向けたセミナーが開かれています。県として初めての試みで、背景には、ぶどう農家の高齢化や担い手不足などから、醸造用のぶどうが不足していることがあります。県では、農地の紹介など就農に向けた支援を積極的に行っていくそうです。
セミナーは、JAや山梨大、地元ワイナリーと連携して実施。6月に開講し、来年2月まで計10回、栽培管理や生育の診断、収穫作業、冬季の管理といった実践的な農業技術と、ぶどう農園の経営や支援制度などについて、教室での講義や県果樹試験場、ワイナリーなどでの実習が予定されています。
30名の定員に県内外の19歳から60代までの応募があり、近く就農を計画している人を中心に参加者が選ばれたそうです。
山梨県果樹・6次産業振興課の担当者によると、新たに就農する人も多いものの、県内のぶどう農家の数は減少を続けているそうです。高齢化や人手不足から規模の縮小の検討、廃業を考えているという農家も少なくありません。国産ワインの人気が高まる一方で、醸造用ぶどうの価格が生食用のぶどうよりも安いことも、醸造用ぶどうの不足に影響していると指摘されています。
醸造用ぶどうの新規就農者の呼び水になれば、と今回のセミナーは企画されました。県の担当者は「セミナーで学べることは限られているが、セミナー参加をきっかけに次の段階に進んでもらい、次の世代を担ってもらえるように支援していきたい」と話しています。セミナー後、就農希望者には農園用地や各種支援制度の情報を提供するなど、関係機関と連携して支援をしていくことにしています。
県では、来年度以降もこのようなセミナーの開催を検討しているそうです。