「フード・マイレージ」という言葉を知っていますか? 航空会社の新しいサービスではありません。直訳すると「食料(フード)の輸送距離(マイレージ)」という意味で、食料の輸送量(t)と輸送距離(km)を掛け合わせて算出します。たとえば、アメリカのカリフォルニア・ワイン1本を日本に運ぶと、重量(1.3kg=0.0013t)×距離(10000km)=13t・kmというわけです。
フード・マイレージの起源は1990年代にイギリスの消費者運動にあります。食品はできるだけ生産地に近い地域で消費することで、運搬過程で排出される二酸化炭素(温暖化効果ガス)を減らそうというのです。
日本のフード・マイレージはどれほどなのでしょうか。やや古くなりますが、2001年に農林水産省農林水産政策研究所の中田哲也政策研究調整官(当時)が、日本を含む6ヵ国を試算しました。
なんと日本のフード・マイレージの総量は世界一なのです。国民1人当たりでも世界一です。2001年の食料自給率(カロリーベース)は40%で、2014年は39%ですから、今はこの数値が上昇しているはずです。約60%もの食料をアメリカ、カナダ、オーストラリアなど遠隔地から輸入するのですから、ダントツの「フード・マイレージ」大国になるのです。
汚名をそそぐためには、私たち一人ひとりが国内産の食品を、しかも近くの耕作地や牧場などで生産されたものを摂る「地産地消」を心がけることで、地球環境にも貢献できるのではないでしょうか。