※トップ写真は「スイセンの葉」
新緑がまぶしい時期となりました。季節の味を求めて、山菜や野草を採りに行く人も多いことでしょう。
しかし、採った植物が本当に安全に食べられるかどうか、十分な注意が必要です。全国でこの春、有毒な植物を食べられる山菜や野草だと誤って食べてしまい、食中毒となる事例が相次いでいます。
今年度に入って有毒植物の誤食による食中毒が続けて3件発生し、計17人が症状を訴えた長野県は7日、食中毒注意報を発令しました。食中毒での注意報は異例だそうです。県健康福祉部によると、伊那市の小学校で6日、児童10人と40代の女性教師が校庭で採ったスイセンの葉をノビルと間違えて食べ、吐き気などの症状を訴えました。全員快方に向かっているそうです。
間違いやすい山野草
長野県内では2日にも、有毒植物のバイケイソウを山菜のオオバギボウシ(ウルイ)と間違えて食べた2人が食中毒となり、4月24日にもスイセンの葉をニラと誤って食べた4人が食中毒となっていました。熊本県阿蘇郡や兵庫県尼崎市でも、スイセンの葉を誤って食べた人々が食中毒症状を訴えました。
厚生労働省によると、スイセンの葉はニラやノビルと、球根はタマネギと似て間違いやすいのですが、有毒物質のリコリンやタゼチンが含まれており、誤って食べると嘔吐や下痢、頭痛などの症状が出るそうです。
また、北海道旭川市では4月下旬、有毒のイヌサフランをギョウジャニンニクと誤って食べた可能性のある70代の男性が死亡しました。観賞用として植えられることの多いイヌサフランは毒性が強く、重度の場合は死に至ることもあります。
全国的にこうした誤食による食中毒が続いていることから、厚生労働省は全国の自治体に食用と確実に判断できない植物を採ったり食べたりしないように注意の徹底を呼びかけています。注意報を出した長野県の担当者は「よく分からない植物を採ったり、人にあげたり、食べたりしないこと。身近な植物であってもむやみに食べることは控えてほしい」と話しています。