2月14日のバレンタインデーに向け盛り上がる中、チョコレート好きには嬉しいニュースが届いた。国産カカオでつくるチョコレートの開発が成功したというのだ。
国産チョコレート「東京カカオ」
東京都小笠原諸島・母島で栽培された“東京産カカオ”を使うことから、その名も「東京カカオ」。埼玉県草加市の製菓会社・平塚製菓株式会社が、小笠原諸島・母島にある折田農園との協力のもと開発を行った。「爽やかな香りとやさしい苦味、なめらかな口当たりが特徴です」(同社営業部・入江智子さん)。
「東京カカオ」プロジェクトは13年前、平塚製菓社長・平塚正幸さんの「東京産のチョコレート」をつくりたいという思いから始まった。
海外視察、ハウス建造、そして2011年にはカカオの植樹をスタートした。
小笠原諸島・母島
しかし、カカオの栽培が行われるのは、赤道をはさんで南北緯20度以内の「カカオベルト」と呼ばれる熱帯地域であり、カカオ農園のほとんどはアフリカや中南米にある。北緯26度の小笠原諸島でカカオを生産するというのは挑戦的な取り組みであった。カカオ栽培についての十分な資料もない。ガイドラインはあっても土地に合わせた作業が必要で、栽培、収穫、発酵、乾燥の作業のすべてが手探りとなり、苦労も多かった。
平塚社長(左)と折田さん(右)
母島で島レモンやマンゴーなどの栽培を行い、農業技術に定評のある折田農園に協力を仰ぎ、はじめて収穫できたのが2013年10月。埼玉県の平塚製菓でチョコレートの試作に成功したのが2015年3月。「ここにきて、自信を持っておいしいと言えるチョコレートが製作できたのです」(入江さん)
2016年には板チョコ1万5000枚分相当の0.5tの収穫を予定し、2018年には商品化を計画している。
「東京カカオ」のカカオ豆
現在、国際的にカカオの需要が伸び、国際的な価格が高騰していることもあり、いくつかの国産カカオへの取り組みが行われている。国産のメリットとして、目の届く場所で行われる無農薬栽培や高品質カカオの生産への期待も高い。何より、純国産のチョコレートが食べられるというのは楽しみではないか。
「『世界一おいしいチョコレートを』という思いで、これから量産化、商品化を目指します」(入江さん)
2年後が待ち遠しい!!