酒類とは、酒税法でアルコール分が1%以上含まれている飲料を指します。そもそもお酒には、「醸造酒」、「蒸留酒」と呼ばれる2種類が存在します。
まず、「醸造酒」は醪(もろみ)を発酵させ、粕を搾(しぼ)ったり、酵母を除くなどの処理をして瓶詰め後、製品となります。日本酒、ワイン、ビールがこれに当たります。
それぞれのアルコール分については、一般的に清酒(日本酒)は、15~18%。ワインは、10~14%。ビールは、5%前後。
ところが、この醪を発酵させた後、蒸留(醸造酒を加熱し、その蒸気を冷やして液体にする方法)という操作を行うことでアルコールを濃縮したお酒が「蒸留酒」というわけです。濃縮される分、アルコール度数は、醸造酒より高くなります。
アルコール度数は、乙類(本格焼酎)の焼酎20~25%。ウイスキー40%。ブランデーは40%。
清酒は、醸造酒の中でアルコール度数の高さは世界一です。
醪を搾ったばかりの原酒は、20%のアルコールを含むものもあります。これを割り水して、アルコールを調整して製品化します。このようなアルコール度数の高さには、3つの秘密があります。
秘密その1:麹(こうじ)
米麹がポイント。日本酒は米麹と蒸した米で造られます。醸造過程で米のデンプンが少しずつ溶かされ、1日に1~2%の糖が産生します。産生した糖は酵母に食べられ、アルコールとなります。これを約1ヵ月続けることで、ゆっくり発酵します。2%の糖液を発酵させると、1%のアルコールができます。酵母は、糖やアルコールの急激な上昇によるストレスを受けることなく、ゆっくりアルコールに慣らされながら発酵していくのです。つまり、醪の中では1日に0.5~1%のスピードで発酵し、最終的に、18〜20%ものアルコールを生成するのです。
秘密その2:酵母と麹
清酒酵母は、アルコールに強い。清酒酵母は麹菌の作ったリン脂質を取り込みます。これを細胞表面成分とします。この脂質の鎧(よろい)を付けることで、体内に入ってくるアルコールから身を守ります。自分が造ったアルコールに負けることなくアルコールを造りだせるのです。
秘密その3:杜氏の技術
1~2のように、清酒製造では、特徴を持った麹と酵母を使います。しかし、これを使いこなす「杜氏(酒造り全般を管理する最高責任者)」の高いワザにかかっているのです。
麹がダメならば、糖化が上手くいきません。そのため麹造りの温度調節を厳密にします。また、醪も温度が上昇すると糖化が行き過ぎ、酵母の発酵バランスが崩れます。低すぎると発酵しません。このように繊細なバランスの上に成り立って、清酒が造られているのです。
金内誠(宮城大学教授)
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