日本酒とウイスキーの違い
酒類は大きく分けると2つに分類されます。つまり、醸造酒と蒸留酒です。
醸造酒は、酵母で発酵させた「もろみ(醪)」を搾(しぼ)って、その液体部を飲むお酒のことです。例えばブドウをつぶして、発酵させたものが「ワイン」となります。麦芽をお湯につけて糖化後の麦芽汁にホップを加え、発酵させたものがビールになります。また、米と米麹に水を加え、発酵させ、液体部を回収したものが清酒です。
一方、蒸留酒は発酵させた「もろみ」を加熱し、アルコールを蒸気にして、冷やすことで回収する「蒸留」という方法で、アルコールを濃縮させたお酒です。ブドウを発酵させた後に蒸留したお酒が、ブランデーになります。また、麦芽を糖化させた麦芽汁を発酵させて、蒸留したお酒がウイスキー。砂糖を造るとき出てくる廃糖蜜を発酵・蒸留させたのがラム。米やイモ、そば、麦と米麹を発酵・蒸留させたものは、焼酎というわけです。
蒸留することによって、アルコール度数は高くなり、ウイスキー、ブランデー、ラムは40度、焼酎は25~40度と高くなります。
蒸留酒は、12~15世紀に一般化し、飲料としての蒸留酒が完成したといわれます。この蒸留の技術は錬金術の産物でした。錬金術といえば、金を取り出す技術です。きっと金色をしている白ワインが、金を含んでいるに違いないということで、蒸留をしたことでしょう。7~8世紀にはスペインでワインを蒸留していたともいわれます。
日本最古の蒸留酒は「泡盛」?
金を蒸留で得る方法は、それより前からありました。水銀と金を混ぜて、アマルガムという合金を作り、加熱することで水銀を蒸発させ、残るのは金のみというものです。奈良の大仏も創建当時は、この方法を用いて金ぴかだったのです。
このような「蒸留」技術を飲料に応用したのは、諸説ありますが紀元前のメソポタミアともいわれています。日本最古の蒸留は沖縄に伝わった「泡盛」説になりますが、シャム(現在のタイ)から伝わったともいわれます。
ジンは、麦芽の発酵物を蒸留したもので、蒸留時に薬理効果がある(と信じられている?)杜松の実(ジュニパーベリー)を添加したものです。ヨーロッパでは、16~17世紀に流行したペストで、ジンが特効薬として飲まれたとされています。
現在、蒸留酒はアルコールを薄めるために氷をいれたり、水で割ったり、カクテルにしたり、楽しみ方は広がっています。先人たちの知恵に乾杯!
金内誠(宮城大学教授)