2021年の節分は2月2日、翌3日が立春となる。これは1897(明治30)年以来、124年ぶりだという。ほとんど毎年、3日節分、4日立春なのに、今年はどうして? というと― 本来、節分とは、季節の始まりである立春、立夏、立秋、立冬のそれぞれ前日を指すが、時代の移り変わりの中、立春の前日だけが残った。ゆえに立春の日付が変われば、節分の日も変わるのだ。
意味深な明治30年の出来事
国立天文台の情報をもとにごく簡単にまとめると― 地球は1年かけて軌道上を1周するが、厳密には365日プラス約6時間弱なのだとか。この6時間弱のために、年々、立春~立冬などの点の通過時刻がずれていく。そのため4年ごとの閏年を設けることで1日を増やし、ほぼ元の日付け状態に戻すということが繰り返されているものの、毎年のずれにより、今年は立春の通過点が2月3日に移ったため、その前日である節分は2日になったという。
説明が長くなったが、要するに例年通り節分は3日だと思っていると、その日は百貨店やスーパーの売場には、豆まきの福豆や恵方巻、魔除け鰯などは影も形も無いということだ。
ちなみに124年前の明治30年に何があったのかと見てみたら、なんとその年の4月、「伝染病予防法」が公布されていた。現在 世界を覆う未曽有の禍を思うと、なにやら意味深な出来事に思えた。
今年は明るく、でも真剣に「鬼は~外!」
季節の移り変わりの節目である、立春前日の節分。昔から、季節の隙間は邪気悪霊(=鬼)が忍び込みやすく、災いが起こりやすい時とされてきた。それらを祓い、さらに昨年から居座っている忌ま忌ましい疫病をも追い払うため、今年は盛大に、「鬼は~外!福は~内!」と、声を張り上げて豆まきを行いたいものだ。
福豆、魔除けの鰯、招福の恵方巻丸かぶりなどはみなご存知だが、意外に知られていないのが、「厄除けぜんざい」ではないだろうか。関西では節分の日に「厄除け」や「無病息災」としてぜんざいを食べる風習がある。また道行く人に振る舞い、厄除けを願う功徳の一種ともされてきた。ぜんざいの小豆の赤い色は、邪気を祓い、厄除けの力を持つと信じられ、祝い事やその他の行事にも使われてきた。
「ぜんざい」の名前にはこんな由来が
「ぜんざい」を漢字で書くと「善哉」。これは二回繰り返して喜びの極致を伝える仏教用語で、「よろしい」とか「結構」という意味があり、この字があてられたという。
命名したのは一休禅師とする説があり、餅入りの小豆汁を賞味した一休が喜んで、「善哉此汁(ぜんざいこのしる)」と称賛したことから。別の説では、出雲地方の神事・神在祭(かみありさい)で振る舞われる「神在(じんざい)餅」が、出雲弁で訛り、「ずんざい」からさらには「ぜんざい」となり、京都に伝わったといわれている。
まだまだ寒い節分、まったり甘いほこほこの厄除けぜんざいで温まりながら、春立つ日を迎えたい。
歳時記×食文化研究所
北野 智子
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