「お正月に飲む日本酒をお屠蘇と言うんじゃないの?!」
そう思っているいる人は意外と多いのではないでしょうか。神様にお供えしたお下がりをいただく御神酒(おみき)と同じようなものだと思っていませんか。実は、本当のお屠蘇は、日本酒や味醂(みりん)に数種類の薬草を組み合わせた屠蘇散(とそさん)を浸したものを言います。
屠蘇散は年末になるとドラッグストアや漢方薬店などで販売されています。その中身は、山椒(さんしょう)、桔梗(ききょう)、肉桂(にっけい)、防風(ぼ うふう)、陳皮(ちんぴ)などで、ティーバッグに入っています。これらの成分は、血行を良くし、胃腸の働きを活発にし、風邪をひきにくくする効果があるとされます。これを大晦日に日本酒や味醂などに浸し、元日の朝(松の内でもかまわない)、お節料理やお雑煮をいただく前に飲みます。
正式には屠蘇器(とそき)という朱塗り、あるいは白銀や錫(すず)などのお銚子と三段重ねの盃でいただきます。いただき方は、家族そろって東の方角を向き、最年長者が最年少者に注ぎ、飲み干した最年少者は次に若い人に注ぐという順番で、年少者から年長者へと盃をすすめていきます(未成年者や運転する人は口をつけるマネでよい)。ただし、厄年の人は年少者であれ年長者であれ、最後に飲むというのが決まりです。飲むときは、「一人これを飲めば一家苦しみなく、一家これを飲めば一里病なし」と唱えます。
このような日本古来の風習を楽しみながら、お正月を過ごせると良いですね。