消費者庁は3月31日、「認知症やガンを予防する効果がある」と宣伝してココナッツオイルを販売していた東京の食品販売会社に対して景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、再発防止を求める措置命令を出しました。
最近人気のココナッツオイルに関するニュースだけに、ショックを受けた読者もいたのではないでしょうか。ただ、この行政処分は売り方が問題とされたのであり、ココナッツオイルそのものを否定するものではありません。
ココナッツオイルとはココヤシの種子からつくられる油脂のこと。ココナッツやココナッツミルクはおいしいヘルシー食材として昔から人気がありましたが、ココナッツオイルの人気に火がついたのは、海外セレブやモデルから。「ダイエットの強い味方」「抗酸化作用がある」と若い女性を中心に人気が高まりました。甘い香りで風味もいいので、トーストにバター代わりにつけたり、炒め物や卵料理、エスニック料理に使われます。
ココナッツオイルの特徴は、中鎖脂肪酸(ちゅうさしぼうさん)が多く含まれていること。油の成分である脂肪酸にはさまざまな種類がありますが、鎖状につながっている分子の長さによっても分けられ、性質に違いがあります。中鎖脂肪酸は、一般的な植物油やラードに多い長鎖脂肪酸の半分程度の長さで、体のなかで分解されやすいため効率よくエネルギーとして使われ、体脂肪として蓄積されにくいと言われています。ただし、摂りすぎはよくありません。
油は体にとって必要な栄養です。油そのものの摂取を極端に減らすことが体によくないのはもちろん、どれか1種類のみにこだわったり、すべてNGとするのではなく、偏りなく摂るようにしましょう。