日本食に欠かせないヘルシー素材
今、日本食に世界から関心が寄せられています。10月31日をもって閉幕したイタリア・ミラノ国際博覧会(万博)ですが、日本の食文化などをアピールした日本館は10時間待ちの日もあるほどの人気に。200万人以上が訪れ、展示館賞の金賞も受賞しました。
日本食の海外人気の先駆けとなった食材が「TOFU」です。健康志向の高いアメリカのセレブなどから広まり、ヘルシー食材として受け入れられています。もちろん、日本でも家庭料理から懐石料理などの高級和食にまで欠かせません。
昔の人の栄養源
豆腐は、大豆をすりつぶして煮た「呉」を絞り、にがりなどの凝固剤を加えて固めてつくります。製造法は、奈良時代から鎌倉時代にかけて中国に留学した僧侶によって伝えられました。
原料となる大豆は、『古事記』にも記述されているほど古くからある食材です。“畑の肉”と呼ばれるほど栄養価が高いのですが、豆腐はさらに消化がよくなり、おいしくなる画期的な加工法でした。
江戸時代には豆腐食が庶民にまで広まり、『豆腐百珍』という豆腐料理のレシピ本がベストセラーになりました。肉食を控えていた当時の人々にとって、豆腐は貴重なたんぱく源でした。
どうして豆腐は体にいいの?
豆腐の栄養成分
豆腐には、良質のたんぱく質が含まれています。たんぱく質は、細胞の材料やエネルギー源として欠かせない栄養素です。たんぱく質は20種のアミノ酸から構成されており、なかでも体内で合成されないため必ず食品から摂取しなければならないアミノ酸を「必須アミノ酸」といいます。豆腐のたんぱく質は、必須アミノ酸9種類をバランスよく含んでいるのです。
また、豆腐には女性ホルモンに似た働きをして骨粗鬆症予防や美肌によいとされるイソフラボンや、動脈硬化の予防によいレシチンのほか、ビタミンB1、ビタミンE、鉄分などが含まれています。
[参考 『日本食品標準成分表2010』、『日本食材百科事典』(講談社編)、『たべもの語源辞典 改訂版』(清水桂一、東京堂出版)]