【歴メシを愉しむ(88)】猟師デビューは鴨となるかも

カテゴリー:食情報 投稿日:2020.12.05

待ちに待った今年の猟期(11月15日~翌年2月15日迄)がスタートとなった。2年前からせっせと猟師見習いをしてきた私も、今シーズンから、い、いちおう猟師デビューを果たした…とはいうものの、猟果を望むなどおこがましく、これから長く険しい鍛錬続きの猟師道が待ち受けている。

 

新人猟師にズシンと来たもの

銃所持許可への第一関門・銃の筆記試験会場で知り合い、先に猟師となった友人がいる。先日その友人から、「おめでとうございます、とうとう猟師デビューですね! よかったら明後日、鴨撃ちに行きませんか?」という連絡があった。残念ながら別の予定があったため行けなかったのだが、この時、身体の芯に重い何かがズシン!と来た。「よかったら明後日、映画に行かない?」とか、「明後日なんだけど、神戸で飲まない?」…みたいな調子で、鴨猟に行こう!というお誘いをくださったのである。

お断りしておくが、その友人が狩猟をすることは、鳥獣という生き物の命を頂くことを軽く考えているのでは決してない。1年365日間でわずか3ヵ月間だけ許される猟期、その短い約90日の間、仕事が休みの日は可能な限り猟に出るのが猟師の魂なのだ。そうか、猟師になったということはこういうことか! という思いが、私に「ズシン!」と来たのであった。

 

鴨をさばくということ

猟師見習い中は大物猟と呼ばれる猪・鹿をターゲットに勉強や実習をしていたので、早速鴨猟(水鳥猟)について勉強を始めた。もちろん初参加の日は銃を持たず見学に徹するつもりだが、鴨の習性を知った上で実際の猟を見学すると全然違うからだ。

これからは急に、「本日の食材、真鴨!」となる可能性も高く、いざという時に即、鍋以外にも鴨のメニューを作れるようにしておきたいと思う。

さて、つい猟の話が長くなったが、まず第一に、その丸ごとの鴨をさばくことができねばならない。このさばく作業の時ほど、生き物の命と真摯に向き合う場面はない。山の命の恵みに感謝しながら、少しの肉も無駄にせず大事に頂くことが最も大切だと思っている。猪と鹿の解体経験はあるが、鳥類は未体験で勉強中である。

 

囲炉裏に映える鴨料理

日本人は古くから鴨を含め野鳥好きで、縄文時代からよく食べていたそうである。その後、上流階級や武家では雉(きじ)や鶴が珍重されたりもするが、鴨は庶民層に食され続け、特に江戸時代には人気があったようだ。『料理物語』(1643<寛永20>年)には、鴨汁に鴨の刺身、膾(なます)、塩鴨の酒びたしなど15通りもの鴨料理が記され、『本朝食鑑』(1697<元禄10>年)には、鴨は「肉が美味で体を温める働きがある」とある。

町人文化が花開いた元禄期に刊行された井原西鶴の『日本永代蔵』には、「鴨膾、杉焼のいたり料理(粋な贅沢料理)」が出てくるが、私が魅かれたのがこの「杉焼」。杉板の上に薄く切った鴨肉をのせ直火で焼き、杉の移り香を味わうという風情あるものだ。これこそ猟師小屋の囲炉裏にふさわしい一品ではないか!

家でこっそり仕込んでおいて、いつの日か、猟師仲間が囲む囲炉裏で得意気に披露することができるやもしれない。

歳時記×食文化研究所

北野 智子

 

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この記事を書いた人

編集部
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