【歴メシを愉しむ(5)】
桜言葉で食あそび(2)

カテゴリー:食情報 投稿日:2019.03.30

「花桜」~爛漫に咲いた桜の花

―この言葉には、桜えびたっぷりのかき揚げや練り天、桜を模った蒲鉾や真丈、桜鯛を炊き込んだ鯛めし、桜鯛の切身を飾ったばら寿司などが似合う。

 

「桜吹雪」~桜の花びらが乱れ散るさまを吹雪にたとえて

―これには、桜の花の塩漬けが散りばめられた炊き込みごはんやおこわで決まり。

 

「花筏(はないかだ)」~桜の花びらが水面に散って連なり流れているのを筏に見立てて

―この美しい言葉には、桜の葉を練り込んだ桜色のそばを筏に見立てて、宴のシメに風流につるつる手繰る(たぐる)のが気分満点である。

 

「桜飯」~実は、蛸(たこ)の炊き込みごはん、なのである

これまでは、桜言葉に込められた意味から見立てた風情ある桜の美味を記してきたが、味も風情も桜とは程遠いと思われるのに、「桜飯(さくらめし)」という名を持つ献立が昔からある。名前からは、桜花の塩漬けを炊き込んだごはんを想像するが、実は蛸なのである。

 

この飯物は、江戸時代の料理書『素人包丁』(2編/1805年)に、茹でた蛸の足を薄く小口切りにして飯と炊き合わせたもので、すまし汁をかけて食すものとして紹介されており、『名飯部類(めいはんぶるい)』(1802年)にも、「調魚飯(うまめし)の部」に載っている。

確かに蛸を炊くと桜色になるため、この名が付いたのだろう。

 

さらに時代はずっと下り、本山荻舟著『飲食事典』(1958年)に紹介されている「桜飯」になると、

「米1升に酒7~8勺、醤油4~5勺を加え、普通に水加減して炊いた色附飯。」と、蛸なしになっており、東京ではたいていこの飯を「桜飯」と呼んだのだそう。

 

こうなると、桜飯は桜飯でも、茶系のイメージがするので、「桜茶飯」という名前などの方がシブくて似合うのではないかと思ったりするのは、大きなお世話というものだろう。

 

さて、来週あたり、さまざまに美しい桜言葉のアテを詰めたお重と桜銘の日本酒を提げて、大阪城にでも桜狩に出かけるとしようか。

                                  歳時記×食文化研究所

                                  北野 智子

 

\  この記事をSNSでシェアしよう!  /

この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう!
小泉武夫 食マガジンの最新情報を毎日お届け

この記事を書いた人

編集部
「丸ごと小泉武夫 食 マガジン」は「食」に特化した情報サイトです。 発酵食を中心とした情報を発信していきます。

あわせて読みたい