お月さまで2羽のウサギが餅つきをしている……そんな言い伝えがあったことを、今の子どもたちは知っているのでしょうか。
今年(2020)の中秋の名月は10月1日。お供えに、ウサギの形のおまんじゅうを作りませんか。
「じょうよまんじゅう(薯蕷饅頭)」は、山芋を使う伝統の和菓子です。粘りの強い大和イモがいいのですが、手に入れやすい長芋で代用してもかまいません。
餡(あん)は、こし餡と芋名月にちなんでサツマイモ餡の2種をご紹介します。
【関連記事】
甘酒使用で固くならない、月見団子
ウサギじょうよまんじゅうの作り方
和菓子店で用いるのは上用粉ですが、上新粉でも代用できます。上用粉に比べて上新粉の粒子が荒いので、少しだけ硬めに仕上がります。
生地はそのままではベタつくので、冷蔵庫で冷やしてから使います。
焼き串でウサギの耳を、色紅で目を描きましょう。1羽ずつ体形や顔つきが違うのも、手作りならではですよね。
【材料】
・大和イモ(長芋でもよい):(すりおろした状態で)40g
・上用粉(上新粉でもよい):60g
・砂糖:20g
・こし餡:200g
【作り方】
1./ボウルに、上用粉と砂糖をふるって入れる。すりおろした大和イモも入れ、しゃもじやヘラなどでよく混ぜる。
1つになるまで混ぜる
2./ラップにくるんで冷蔵庫で冷やす。
3./こし餡を10個にわけて丸めておく。
4./2の生地を10個にわける。
5./手に粉(分量外)を振って、4の生地を丸く伸ばす。真ん中に3の餡を入れ、包み込む。ウサギの形になるよう、成形する。
餡を生地で包み込む
6./沸騰している蒸し器に入れ、強めの弱火にして10分蒸す。様子を見て、粉っぽさが残っているようなら、1分ずつ蒸し時間を足していく。
蒸し器が無い場合は、フライパンに網を置き、クッキングシートを敷く。網の高さの半分くらいまで水(分量外)を入れて火にかけ、ふたをして、蒸し器として使用する。
フライパンを蒸し器として使う
7./あら熱がとれたら、熱した金串などを押し当てて耳を描く。爪楊枝の根もとに食紅を付けて目を描く。
伝統の和菓子「じょうよまんじゅう」のウサギ形
●サツマイモあんのウサギまんじゅう
甘酒を使うことで砂糖を控え、コクのある餡にします。サツマイモは乾燥具合や糖分が個体により違うので、レンジの加熱時間は柔らかくなるまで、甘さはお好みで、調節してください。
工程や生地の分量は、こし餡の場合と同じです。
【材料】
・サツマイモ:(熱して皮をむいた中身)180g
・甘酒:20g
・砂糖:20g
【作り方】
1./サツマイモを洗ってラップでくるみ、電子レンジ600Wで5分加熱する。柔らかくなるまで、1分ずつ追加で加熱する。
2./1のサツマイモの皮をむき、熱いうちに甘酒、砂糖を入れて、しゃもじかヘラで練る。
イモをつぶしながら練る
3./10個にわけて丸める。
この後は、こし餡の工程4以降と同じ。
なめらかなサツマイモ餡
名月へのお供え
福田恭子/フリーランス・ライター。京都市生まれ。ドイツ・テュービンゲン大学で学ぶ。文化を専門として茶道家元や京都の老舗料理店の広報誌編集長を務め、国内各地や世界50カ国で取材。