スウェーデン、フィンランド、ロシア、ドイツ…。
バルト海を囲む国々には、様々なパイ包み料理があります。映画「魔女の宅急便」では、スウェーデンの「ニシンとカボチャのパイ」が出てきましたよね。
どの国も海の幸と森の幸に恵まれ、パイ料理にも個性が見られます。フィンランドでは「お米にディル(ハーブ)を混ぜたものと鮭を塩味で」、ロシアでは「キャベツとキノコのクリームソース」、ドイツでは「鹿肉のデミグラスソース」というように。
「夏は暑いから火を使う料理はしないけど、秋を待ちかねて作るの。翌年の初夏まで、週に1回はパイ料理よ」というドイツ人の友人に、基本を教えてもらいました。
ここでは日本風にアレンジして、旬の秋鮭とキノコをメインにします。
ドイツの主婦オススメの魚形パイ皿
クレビヤーカ(鮭とキノコのパイ包み)の作り方
「生地、手作り?!」とよく驚かれますが、薄力粉とバターと水を混ぜて冷蔵庫で寝かせるだけ。こねたり折り畳んだりしないので簡単に、とてもおいしくできます。
冷凍パイシートを使う場合は、工程2から始めてください。
バルト海沿岸諸国でよく使われる発酵食品のサワークリームは、爽やかな酸味で、料理をひときわおいしくしてくれます。
【材料】
・小麦粉:300g
・バター:200g
・水:100ml
・鮭:200g
・卵:4個(3個はゆで卵、1個は表面のテリ用)
・タマネギ:100g
・キャベツ:100g
・シメジ:50g
・マイタケ:50g
・サラダ油:大さじ1
・塩:少々
・こしょう:少々
・サワークリーム:50g
【作り方】
1./耐熱性の器にバターを入れ、200Wのレンジで2分加熱して、柔らかくする。小麦粉をふるって入れ、水も足して、こねる。全体がよく混ざったら、ラップに包んで冷蔵庫で1時間以上休ませる。生地はかなり柔らかいが、冷蔵庫で休ませているうちに固くなる。その間に、具の準備をする。
生地は柔らかくてもOK
2./卵3個を、ゆでる。タマネギは薄切り、キャベツは細切り、シメジは石づきを取ってほぐす。マイタケはほぐす。
3./フライパンにサラダ油を入れ、強めの弱火で鮭を炒める。ほぐしながら、骨を取る。火が通ったら、別の容器に取出しておく。
旬の秋鮭
4./鮭の塩味が残っている3のフライパンを使って、薄切りタマネギを弱火で炒める。しんなりして、色が透明から茶色っぽくなったら、キャベツ、シメジ、マイタケを入れて炒める。
5./全部に火が通ったら、2のゆで卵をあらみじん切りしたものと、3の鮭を戻し入れる。水分がなくなったら、サワークリームを入れて混ぜ、塩とこしょうで味を調える。
6./オーブンシートに1の生地をのせ、生地の半分をすりこぎや麺棒で皿の大きさまで伸ばし、皿に敷く。
7./6に5の材料を、縁から1㎝ほど内側まで、のせる。
生地に具をのせる
8./残りの生地を伸ばし、7にかぶせる。上下の生地を水(分量外)でぬらして、くっつける。余った生地で、魚の目やヒレ、ウロコなどを作る。ナイフで描いてもよい。
好きなように描いて
9./溶き卵を表面に塗る。
10./200度に余熱しておいたオーブンで20分焼く(焼き加減を見て、5分ずつ焼き足してください)。
食卓を盛り上げるパイ料理
切り目に歓声があがる
●お皿や器を使わずに
容器を使わずに作ることもできます。
下の写真は、冷凍パイシートを使って作りました。
パイシート2枚を25センチ×20センチほどに伸ばし、具をのせます。シート1枚をテープ状に切って網目にし、下のシートで周囲を押さえます。残った生地で好みの形を作り、飾ります。
網目に作ったパイ
その他、袋状に包み込むなど、ご自由にお試しください。
福田恭子/フリーランス・ライター。京都市生まれ。ドイツ・テュービンゲン大学で学ぶ。文化を専門として茶道家元や京都の老舗料理店の広報誌編集長を務め、国内各地や世界50カ国で取材。