【歴メシを愉しむ(57)】
初夏は毎日でも豆ごはん

カテゴリー:食情報 投稿日:2020.05.27

とうとう近畿3府県(大阪、兵庫、京都)の緊急事態宣言が解除となった。まだまだ油断はできないが、ウイルスと共存をしつつ日常を取り戻す、新たな局面に入ったのは喜ばしいことである。

本コラムも前回より、「お家ごはん」展開から、季節の訪れに目を向けて、その恵みを味わうことにシフトしているが、なんせ前代未聞の状況下にあったので、見逃していた旬の味わいが順番待ちをしていて、矢継ぎ早に食べないといけないので(いけなくはないのだが…)、嬉しい焦りの日々である。

 

関西人の豆ごはん

この時節、多くの人が食べたくなるごはんものといえば「豆ごはん」だろう。

全国的にはグリーンピースが使われると思うが、関西では「うすいえんどう」という豆を使う。色・形が薄いから「うすい」ではなく、「碓井豌豆」という表記の大阪伝統野菜の一つで、関東ではあまり馴染みがないかもしれない。

そもそもこの豆は明治時代、大阪に米国から持ち込まれたブラック・アイド・マロウファットという品種だったとか。後、えんどう栽培は大阪府下全域に広がったが、中でも河内国古市郡碓井村(現・羽曳野市碓井)で栽培されたものに「碓井豌豆」の名が付けられたのは、他のえんどうより優れた味と品質があったからだという。えんどうにはさやごと食べるさやえんどう、実を食べる実えんどうなど様々なものがあるが、碓井えんどうは実えんどうの元となったとされている。

碓井えんどうは淡い緑色で粒が大きく、青臭さはほとんどなく、甘くて美味。まだ甘味が少なかった戦後、大阪では甘みの強い碓井えんどうを子どもたちがおやつ代わりに食べたり、出汁で含め煮にするなどして食されてきた。中でも豆ごはんは、この時季に家庭で作られてきた季節の風物詩的なごはん。私も幼い頃から母が炊いてくれる豆ごはんが楽しみで、何杯もおかわりしたし、毎日食べたいほど好物であった。

 

これから初夏が終わるまで毎日食べたい

現在では羽曳野市碓井産のものは少なくなり、和歌山県の生産量が大部分を占め、「紀州うすい」の名で出回っている。収穫時期は春~初夏までと短いので、焦りつつもこれから初夏が終わるまで、毎日豆ごはんの嬉しい日々である。

ちなみに豆ごはんを炊く時、ごはんが炊き上がるちょっと前に豆を投入する「豆の鮮やか緑色重視派」と、色は幾分褪せるものの豆を混ぜ合わせて炊く「豆とごはんのほんわかなじみ味重視派」に分かれるが、私は後者の方である。口に入れた時に、ほふぁ~と立ち上る豆の香りと柔らかさ、ごはんとのなじみ具合がなんともいえず大好きなのだ。

豆の量は米に対して3割程がいいとされているが、私は5割近くは入れるので、炊き上がった時は、できるだけ豆を潰さないよう、しゃもじでそろ~っと慎重に混ぜる。この時はきっと息を止めていると思う。

碓井豌豆、紀州うすいほか豆の旬の多くは6月頃迄。これから豆ごはんの日々に突入である。

歳時記×食文化研究所

北野智子

 

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この記事を書いた人

編集部
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