薄味でヘルシーといわれる京料理のなかでも代表的なレシピが「きらずの炊いたん」でしょう。
「炊いたん」とは「炊いた物」のこと。
「きらず」は「おから」の京言葉で、おからは「空(から)っぽ」に通じることから、このように言い換えます。かつて京都の商家では、「お客様とのご縁が切れないように」と、月末には必ず「きらずの炊いたん」を作る風習もあったそうです。
大豆が原料のおからは、1~2月が旬です。卒業式や就職、転勤などの時季、食卓に「きらずの炊いたん」はいかがですか。ご縁が切れないことを祈りつつ。
きらずの炊いたんの作り方
ほろほろしたおからと一緒に煮るので、野菜は全部あらみじんで大丈夫。コンニャクはアク抜き不要のつきコンニャクにするとラクです。フードプロセッサーを使ってもかまいません。
東京のお豆腐屋さんに「ゴマ油を少し加えるとよい」と、教えてもらいました。なるほど、喉ごしもよくなり、風味もぐっと増しました。
今回は「京のおばんざい+東京のお豆腐屋さんの知恵」バージョンですね。
【材料】
・おから:250g
・油揚げ:2枚
・ゴボウ:40g
・シイタケ:40g
・ニンジン:40g
・つきコンニャク:40g
・レンコン:40g
・顆粒だし:小さじ2
・酒:大さじ4
・砂糖:大さじ1
・みりん:大さじ2
・しょうゆ(あれば、うすくち醤油):大さじ3
・塩:ひとつまみ
・水:100ml
・ゴマ油:小さじ4(小さじ2ずつ2回に分けて使う)
【作り方】
1./油揚げをボウルに入れ、熱湯をかけて上下をひっくり返し、表面の油を落とす。
油抜きする
2./油揚げ、ゴボウ、シイタケ、ニンジン、ツキコンニャク、レンコンのすべてをあらみじんに切っておく。
おからと材料
3./鍋か深めのフライパンに2の材料を入れて、弱めの中火で炒める。材料の水分がなくなってきたら、ゴマ油小さじ2を入れて、混ぜる。
4./火が通ったら、おからと、顆粒だし、酒、砂糖、みりん、しょうゆ、塩、水を入れ、混ぜて煮る。
しっとり感を残す
5./ゴマ油小さじ2を入れ、さっと混ぜる。
ヘルシーで栄養満点
福田恭子/フリーランス・ライター。京都市生まれ。ドイツ・テュービンゲン大学で学ぶ。文化を専門として茶道家元や京都の老舗料理店の広報誌編集長を務め、国内各地や世界50カ国で取材。