いつ地震が来てもおかしくない日本列島。万一に備え役立つ非常食を確保しておきたいものです。
これからお話しするのは、日本人にとって理想的な非常食の数々。水とこれら非常食があれば、他の食品なしに何日も自分や家族が、生き延びることができるだけでなく、体と心の健康を保つこともできます。日本人が長い歴史の中で育んできたこれら保存食を「賢者の非常食」と名付け、順にご紹介します。
乾燥餅は心強い味方
餅もまた、日本人に古くから親しまれてきた食品で、炊いた米に次ぐ主食の王様です。日本における餅の歴史は古く、稲作の伝来とともに東南アジアから伝わったと考えられています。
餅はパワーが出る食べものですので、非常食としてぜひ活用したい食品です。しかしそのままで置いておくとすぐにカビがきてしまいます。ここでは非常食として役立つ餅を紹介しましょう。
まずは災害時の非常食用として商品化されている乾燥餅を常備しておく方法です。この乾燥餅というのは餅をフリーズドライにした商品で、水に数分浸すだけでおいしく食べられる優れものです。水戻し餅と呼ばれることもあります。加熱する必要がなく、大変手軽に餅を食べることができるので、非常持ち出し袋の中に入れておくと心強い味方となってくれることでしょう。
真空パックの切り餅は必需
スーパーなどで売られている切り餅を真空パックにした商品も、非常食として大いに活用できる食品です。もちろんこちらは非常食用に商品化された食品ではありませんので生では食べられません。しかしお湯で五分も茹(ゆ)でれば、熱々の軟らかい餅が食べられるので、案外お手軽に調理することができます。お湯がなければ、野外で焚火(たきび)をしたときに灰の中で焼けばいいでしょう。
うどんに餅を入れて「力うどん」と呼ぶように、餅は力の源泉です。震災のときは、お雑煮のようなちゃんとした料理は作れないでしょうが、焼いたお餅にお醤油を付けて食べるだけでも元気が出ます。
真空パックのお餅は、いくらでも保存がきく上に腹持ちも抜群です。非常食の常連として、常に買い置きしておいてください。
小泉武夫