日本人が失ってきたもの【小泉武夫・賢者の非常食(45)】

カテゴリー:食情報 投稿日:2019.01.27

スーパーが普及した負の面

不幸なことに、日本人は食べものをうわべだけで選ぶ習性がついてしまいました。近くにファーストフードがあれば、抵抗なくそればかり食べてしまいます。それに加えて、数十年前から日本にはスーパーマーケットに代表される大型ショッピングセンターが誕生しました。

元来、スーパーマーケットは、アメリカ人のように広大な国土で暮らす車社会の人々が活用すべき店舗形態で、当時、日本のように狭い国ではあまり普及しないのではないかと見られてきましたが、今では小さな町に二つもスーパーマーケットがある盛況で従来の日本の商店街が駆逐(くちく)されてしまいました。私は20年ほど前に出した本にそう書きましたが、地方へ行くとどの商店街もシャッター通りになっていて、郊外型の大型店だけが栄えている状況です。

 

寂しくなる町の現状

その土地に住んでいる子どもたちは、おそらくうんざりしているでしょう。こんな寂し い町で生きていくのは嫌だと思うでしょう。だからこの町を出て行きます。仕方がありません、大人たちがそんな選択をしたのですから。子どもたちには罪がありません。

大型スーパーで買い物をするとき、私たちは話をしませんね。黙って食品を買い物かごに入れ、黙ってレジに持って行きます。するとレジ係が計算してお金を受け取り、お釣りを渡してくれます。店員は、今晩のおかずの相談には乗ってくれません。

小泉武夫

 

 

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編集部
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