奄美大島とアメリカの関係
次に、鹿児島県の話をしましょう。私は現在、琉球大学の客員教授をしていますが、同じく鹿児島大学の客員教授もしていますので、鹿児島にも頻繁(ひんぱん) に出かけるのです。鹿児島県の離島、奄美大島や徳之島(とくのしま)は、沖縄県とは逆に日本でもトップクラスの長寿地域になっています。そこには、歴史のいたずらがあったことをみなさんご存じでしょうか。
昭和二〇年、アメリカは日本に言いました。「万が一、沖縄の嘉手納(かでな)基地が中国やソ連にやられたら、極東はおしまいになる。そうならないためには、もうひとつ基地が必要だ。しかし、沖縄に基地を二つ造れないので、沖縄と同じくらいの島に造りたい」。その言い分にも、日本は同調しました。沖縄の次に大きな島といえば奄美大島です。そこで、奄美大島は戦後しばらくの間、アメリカに統治されました。
しかし、奄美大島を含めて奄美群島は山が多かったり、岩場が多かったりしたため、結果的には基地は造られず、昭和二八年に日本に正式返還されました。
小泉武夫