食べ物は薬と同じ(2)【小泉武夫・賢者の非常食(52)】

カテゴリー:食情報 投稿日:2019.05.24

沖縄文化を象徴する泡盛

 何がいちばん変わったかというと、医食同源(いしょくどうげん)の生き方がなくなったことです。それまでの沖縄は、四五〇年間もの間、文化的には中国の影響を受けていました。琉球(りゅうきゅう)という独立国で独自の王朝を戴(いただ)いていた沖縄は、ちょうど等間隔にあった中国とシャム(現在のタイ)との間で三角貿易を行う、とても豊かな島国でした。泡盛は、タイから入ってきたお酒で、タイ米でつくります。今でも、タイ米でつくったものしか泡盛とは呼ばないので内地米では絶対に作りません。そのくらい確固とした文化が長く続いていたのです。

 それを横目で見ながら「いいなあ」と思っていたのが薩摩藩(さつまはん)です。四〇〇年ほど前、ついに薩摩藩は、琉球を大和(やまと)に併合してしまいました。奄美大島などの南西諸島も琉球諸島だったので、半ば強引に併合したのです。しかし「食」は文化ですから、沖縄は中国の影響を受けた医食同源、薬食同源の食思想を続けてきました。中国文化の伝統を守り続けたのです。

 

沖縄の人が信じる医食同源”とは

 ここで、医食同源の話をしておきましょう。これは、一種の予防医学です。病気になってからでは遅いので、食べものは医者と同じだから、いい医者を体内に送り込んでおきましょう、という考え方をします。薬食同源も同じことで、食べものは薬と同じだから、病気にならないようにいつもいい薬を体内に送り込んでおきましょう、という考え方をするのです。その考え方を、沖縄の人たちは忠実に守ってきました。そのために、長寿が続いてきたのです。

小泉武夫

 

 

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