米に次いで大事な大豆
可食植物や野菜は、日本人にとって欠かせない食材でした。根茎、葉物、豆類、山菜など、どれも庶民の食卓になくてはならないものばかりです。そのなかでも、大豆とイモは特筆に値します。
大豆は、日本人の食べもののなかで、主食の米に次ぐ大切なものです。私は、大豆を救荒食品または非常食として、絶対に手放してはならない食べものだと考えています。日本人は、奈良時代から米と大豆をセットにして食べてきました。「水田では米を作れ、畦道では大豆を作れ」と先人たちがいったことを忠実に守ってきたのです。これは、水田がご飯であり、畦道は味噌汁であることを意味しています。そのご飯と味噌汁という日本食の根幹を成す食べものの、一方が大豆であるということです。
牛肉並みのタンパク質を持つ大豆
大豆の大切さは、タンパク質が多量に含まれているところにあります。 では、大豆にはどのくらいのタンパク質が含まれているのでしょうか。牛肉(和牛)のタンパク質の含有量は11~20%ですが、同じ水分量に調整して比較した場合、大豆の タンパク質の含有量は16~17%でほぼ同じです。このことからも、昔の人が大豆のことを「畑の肉」と呼んだことがうなずけます。
食べ方は多岐にわたりますが、おもな用途は加工食品です。味噌、豆腐、納豆、油揚げ、湯葉、厚揚げなど、枚挙にいとまがありません。そのほか「凍み豆腐(高野豆腐)」といった、驚くべき栄養食を誕生させてくれます。
そのまま食べる方法としては、煮豆や若くて青い大豆を茹でた枝豆があります。また、南東北の郷土料理である「ずんだ餅」のように、菓子としての食べ方もあります。
小泉武夫