手抜きのゴーヤチャンプル(1)【小泉武夫・賢者の非常食(55)】

カテゴリー:食情報 投稿日:2019.06.22

 470円のステーキが沖縄の食文化を変えた

 戦後沖縄に基地ができて以来、医食同源、薬食同源の生活が沖縄から消えました。代わりに何が始まったかというと、アメリカから缶詰文化が入ってきたのです。その缶詰は、アメリカの兵隊さんの食べものです。アメリカ人は、魚の缶詰はあまり食べません。ほとんどが豚のランチョンミート、それにハムの缶詰、チキンの缶詰、牛肉のコンビーフ缶ばかりです。

 さらに昭和二四、二五年頃から沖縄で圧倒的に多くなったのが、アメリカンビーフです。これが沖縄の街にどんどん出てきました。基地を提供している沖縄県民に、日本政府が、 アメリカ並みに安くアメリカンビーフが買えるように買い支えしていたからです。昭和四四年に沖縄に行ったとき、実は私たちは大喜びでした。レストランに行くと草鞋(わらじ)のように大きなステーキが出てきて、ライスかパンとスープが付いて四七〇円しかしません。うれしいから毎食のように注文して、一週間ステーキを食べに行ったようなものでした。それほど安かったのです。

 そういう状況が続いたものですから、沖縄県では医食同源、薬食同源とはまたたく間に縁が切れてしまいました。平均寿命が短くなり始めたのは、それからしばらく後です。しかし、我々のような年寄りには影響が出ません。次の世代の人が病気になるのです。それがなぜかはあとでお話しします。とにかく、沖縄県の食生活は激変したのです。

 

小泉武夫

 

 

  •                    

\  この記事をSNSでシェアしよう!  /

この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう!
小泉武夫 食マガジンの最新情報を毎日お届け

この記事を書いた人

編集部
「丸ごと小泉武夫 食 マガジン」は「食」に特化した情報サイトです。 発酵食を中心とした情報を発信していきます。

あわせて読みたい