なぜ、”食の知恵”が必要なのか?
日本が食糧で、アメリカや中国に媚びない国として自立していくには、どうすればいいのでしょうか。これは大変重要な問題です。食糧のことを考えると、日本はとても厳しい状況に置かれています。いったん有事(ゆうじ)となれば、日本にはすぐに食糧危機が発生し、飢餓(きが)に陥るでしょう。そうならないためにも、この本で紹介する食の知恵をぜひ身に付けていただきたいと思います。 食糧は、急につくろうと思ってもできるものではありません。それは、日本の農業就業者が高齢化しているという問題と、休耕田(耕作放棄地)が398000ヘクタールもあるという事実が示しています。実に埼玉県全部と群馬県の一部を合わせたくらいの水田と畑が見放されてしまったのです。47都道府県のひとつがまったく作物を生んでいないわけですから、食べものが少なくなるのも無理はありません。
そこへもってきて、またアメリカから厳しい条件が押し付けられました。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)です。これは、太平洋を囲む国々同士が貿易を行う場合、例外品目を設けず関税を撤廃しようという協定です。もしこれが発動すれば、日本の食料自給率10%台に下がってしまうという試算が出ているわけですから、そうなると外国の食ものしか食べられないということになります。
このように、現在日本の食生活は、危機的状況に追い込まれているのです。
(2011.10現在)
小泉武夫